住宅金融公庫

住宅金融公庫について

住宅金融公庫（じゅうたくきんゆうこうこ）は、かつて存在していた特殊法人で、国土交通省および財務省の管理下にありました。この機関は1950年6月に設立され、2007年3月31日に廃止されるまで、住宅問題に特化した金融支援を行ってきました。その後、業務は独立行政法人住宅金融支援機構に引き継がれました。

概要

住宅金融公庫は、東京都文京区に本店を構え、全国の主要都市には11の支店を運営していました。設立当初から2005年度には資本金2,237億円を有し、役職員数は1,105人に達しました。融資残高は55兆3,040億円にも及び、住宅金融の重要な役割を担っていました。

この機関は、特に資金力が限られた個人が長期にわたって住宅を取得するための支援を目的としており、政策的な支援を通じて住宅市場の活性化に寄与していました。融資に必要な資金は政府の財政投融資制度や財投債を通じて調達されていました。

業務内容

住宅金融公庫の業務は、主に住宅資金融資とその他の金融商品に関するものでした。1950年代の設立から2007年まで、住宅の建設や購入を目的とした長期・固定・低利の住宅資金の直接貸付を提供していました。融資申し込みは、金融機関を通じて行われ、実際の審査や送金処理は公庫が行うという仕組みでした。また融資返済も、取扱代理店を通じて行われることが一般的でした。

住宅金融公庫の融資審査では、物件の構造や評価額が重視され、一定の収入があれば融資を受けやすい方針がありました。そのため、2000年代の住宅融資残高のうち、約4割が公庫融資によるものでした。

財形住宅融資と債券

公庫は各金融機関での財形貯蓄に基づく融資制度も提供していました。これは、財形貯蓄残高の10倍まで住宅取得やリフォームの資金として借りることができるもので、住宅金融支援機構に引き継がれた後も制度が継続されています。

加えて、「住宅宅地債券」として知られる積立形式の債券を発行し、集合住宅の修繕費用などを積み立てる目的で利用されていました。しかし、独立行政法人に移行した後、直接融資は限られた条件でのみ行われることとなり、これにより「つみたてくん」という債券の発行は2004年に終了しました。

証券化支援事業

住宅金融公庫は、指摘されることのあった直接融資の民業圧迫問題に対処するため、2003年から証券化支援事業を開始しました。これは民間金融機関による長期・固定金利の住宅ローンを提供するためのもので、アメリカの住宅金融支援の枠組みを参考にしていました。2004年には「フラット35」と名付けられ、最長35年の返済期間が設定され、その後、最長50年の「フラット50」も登場しました。これにより、利用者はより柔軟な住宅資金の調達が可能となりました。

結論

このように、住宅金融公庫は長年にわたり住宅市場における重要な役割を果たしてきました。公庫の活動は、資金力に限界がある多くの個人に対して、住宅の取得を可能にする支援となったと言えるでしょう。

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