江刺市

岩手県江刺市：歴史と文化の足跡

岩手県内陸中南部に位置していた江刺市は、2006年2月20日、水沢市、胆沢町、前沢町、衣川村との合併により、奥州[[市]]となり消滅しました。現在は奥州[[市]]の北東部を構成しています。その歴史は古く、奥州藤原氏初代、藤原清衡の生誕地であり、居城であった豊田館跡が存在することからも、その深い歴史的背景が伺えます。

江刺市名の由来

江刺という地名は、諸説あります。胆沢郡の前方を意味する「イサキ」（胆前）の転訛とする説や、アイヌ語に由来する説など、複数の説が提示されています。いずれの説も、この地域が古くから人々の生活の場であったことを示唆しています。

江刺市の歴史的変遷

1889年（明治22年）の町村制施行により、複数の村が成立。その後、1955年（昭和30年）2月10日、江刺郡の複数の町村が合併し、江刺町が誕生しました。同年7月10日には、江刺町の一部が北上[[市]]に編入されています。1958年（昭和33年）11月3日には市制施行、江刺市となりました。そして、2006年（平成18年）2月20日、前述の通り、奥州[[市]]に合併されました。

行政と国際交流

江刺市時代には、複数の市長が市政を担っていました。詳細な歴代市長の記録は、参考文献『日本の歴代市長：市制施行百年の歩み』などに記載されています。国際交流にも積極的に取り組み、オーストラリアのグレーター・シェパトン市、オーストリアのロイテ市・ブライテンヴァング市と姉妹都市提携を結び、活発な交流を行っていました。

教育機関

江刺市には、岩手県立岩谷堂高等学校、岩手県立岩谷堂農林高等学校など、特色のある高校が存在していました。岩谷堂農林高校は、土木・林業系の学習に特化した全国でも珍しい高校でした。また、複数の中学校、小学校も設置されていました。これらの学校は、地域の子どもたちの教育を担う重要な役割を果たしていました。現在これらの学校は、奥州[[市]]教育委員会の管轄下にあります。

交通網

東北新幹線は江刺市の区域内を通過していましたが、駅は設置されていませんでした。最寄りの駅は、旧水沢市域にあった水沢江刺駅でした。市内には岩手県交通のバス路線、江刺市営バスが運行し、地域の交通を支えていました。また、国道107号、国道397号、国道456号をはじめ、複数の主要地方道、一般県道が整備され、道路交通網も形成されていました。

観光と文化

江刺市は、歴史公園「えさし藤原の郷」が有名です。NHK大河ドラマのロケ地としても使用され、多くの観光客を呼び込みました。また、奥州藤原氏の祖、藤原清衡の生誕地であり、豊田館跡も重要な歴史的観光資源です。

祭り、郷土芸能、特産品

江刺市では、年間を通して様々な祭りやイベントが開催されていました。伊手熊野蘇民祭、江刺甚句まつり、七夕まつりなど、地域独特の文化が色濃く反映された祭りです。また、鹿踊り、原体剣舞など、独特の郷土芸能も盛んで、特に原体剣舞は宮沢賢治の詩にも詠まれたことで知られています。特産品としては、江刺金札米、江刺りんご、岩谷堂羊羹、亀の子煎餅など、多くの農産物や加工品がありました。岩谷堂箪笥も、伝統工芸品として有名でした。

江刺市出身の著名人

江刺市からは、藤原清衡をはじめ、安部香里、池田文春、岩手富士祐一、及川完、大瀧詠一など、多方面で活躍する著名人を輩出しました。

参考文献・参考サイト

本稿の作成にあたり、以下の参考文献・サイトを参照しました。

歴代知事編纂会 編集『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 第1、歴代知事編纂会、1983年。
国土地理院 地形図閲覧システム
* 国立国会図書館Web Archiving Project


江刺市は、歴史と文化、そして豊かな自然に恵まれたまちでした。その歴史的遺産は、現在も奥州[[市]]に受け継がれ、未来へと繋がって行くと考えられます。

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