佐々木葉二

佐々木 葉二

日本のランドスケープアーキテクト、佐々木葉二氏は、都市空間から個人邸の庭園に至るまで、多岐にわたる環境のデザインを手掛け、教育者としても日本のランドスケープ分野に大きく貢献してきた人物です。1947年に奈良県で生まれ、画家である父・佐々木節雄と、詩人の兄・佐々木幹郎という、芸術的な感性が豊かな家庭環境で育ちました。

大阪府立住吉高等学校を卒業後、神戸大学農学部生産工学科へと進学します。大学在学中、集中講義で造園家の久保貞氏による「造園概論」に触れたことが、氏がランドスケープデザインの道へ進む決定的なきっかけとなりました。神戸大学を卒業した後、さらに専門知識を深めるため、大阪府立大学大学院農学研究科緑地計画工学専攻修士課程で学び、この分野における高度な理論と実践を修得しました。

大学院修了後は、建設会社である鴻池組に入社し、実務経験を積みました。その後、会社の留学制度を活用して海外での研鑽を積む機会を得ます。1988年にはカリフォルニア大学バークレー校環境計画部にて客員研究員として、翌1989年からはハーバード大学デザイン大学院にて客員研究員として滞在し、アメリカの先進的なランドスケープデザインや都市計画について深く学びました。これらの海外での貴重な経験は、その後の氏のデザイン思想と活動に深く影響を与えています。帰国後の1989年、自身のデザイン哲学を追求するため、鳳コンサルタント環境デザイン研究所を設立し、独立した活動を開始しました。

佐々木氏は自身のデザイン実践と並行して、教育者としても精力的に活動しました。設立した鳳コンサルタント環境デザイン研究所の取締役所長を務めたほか、京都造形芸術大学教授、立命館大学理工学部特別招聘教授、神戸大学工学部非常勤講師など、数多くの教育機関で教鞭を執り、次世代のランドスケープアーキテクトの育成に貢献しました。

これまでに手掛けたプロジェクトは、都市の顔となるような広場や再開発地区、商業施設、集合住宅、公共施設のランドスケープ、そして個人邸の繊細な庭園デザインまで、非常に多岐にわたり、その活躍の場は国内外に及びます。代表的な作品には以下のようなものがあります。

白雨館（自邸）
基町クレド
さいたま新都心けやきひろば
六本木ヒルズ
衆議院議長公邸の庭
HAT神戸
八事山興正寺寺庭
漢南ザ・ヒル（HANNAM THE HILL, 韓国）

これらの作品は、それぞれの場所の文化的・歴史的な背景や自然環境を深く読み解き、人々の生活や活動を豊かにする空間を創造するという、氏のデザイン哲学を体現しています。

また、ランドスケープデザインに関する深い知見と経験を広く共有するため、多くの書籍の執筆や編著にも携わっています。主な編著は以下の通りです。

『Landscape design : 佐々木葉二作品集』
『見えない自然を見せる = Revealing nature : 佐々木葉二作品集』
『ランドスケープの近代―建築・庭園・都市をつなぐデザイン思考』
『テキスト ランドスケープデザインの歴史』
『見えない庭―アメリカン・ランドスケープのモダニズムを求めて』

これらの著作は、日本のランドスケープデザインの理論的、実践的な議論に重要な貢献をしています。

佐々木氏の卓越したデザイン能力と社会への貢献は、国内外で高く評価されており、数多くの権威ある賞を受賞しています。主な受賞歴には以下のようなものがあります。

グッドデザイン賞（複数回）
日本造園学会賞（設計作品部門、技術部門、特別賞）
都市景観大賞
環境大臣賞
国際デザイン開発賞

これらの受賞歴は、氏の作品が持つ芸術性、技術力、そして社会に対する貢献度の高さを明確に示しています。

現在も、佐々木デザイン・アトリエの代表として活動を続ける傍ら、設立した鳳コンサルタント環境デザイン研究所の顧問も務めています。長年にわたる経験と実績を基盤に、新たなプロジェクトに挑戦しつつ、ランドスケープデザインの可能性を追求し、より質の高い環境と空間の創造を目指しています。日本のランドスケープ分野におけるその貢献は計り知れません。

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