佐々車両基地

佐々車両基地（さざしゃりょうきち）

松浦鉄道が運行する西九州線の車両たちが、日々の運行を終えて憩い、そして次の運行に備える重要な施設、それが佐々車両基地です。この基地は、長崎県北松浦郡佐々町に位置し、松浦鉄道の運営を根底で支えています。

概要と立地

佐々車両基地は、西九州線の拠点駅の一つである佐々駅に寄り添うように設けられています。その広大な敷地は、かつて日本の鉄道網を支えた国鉄時代の佐々機関区があった場所を活用しており、歴史ある鉄道施設の役割を引き継いでいます。

この基地の大きな特徴の一つに、その独特な配線構造が挙げられます。車両基地と佐々駅との間を車両が行き来するためには、佐世保方面へ向かう引き上げ線を利用する必要があります。これは、車両が基地から駅へ、あるいは駅から基地へ移動する際に、一度引き上げ線に入って進行方向を変える、いわゆるスイッチバックのような操作が必要となることを意味します。この珍しい構造は、地形や歴史的な敷地の利用状況に由来するものと考えられます。

基地内では、西九州線で活躍する様々な形式の車両たちが、定期的な検査や修理、清掃といったメンテナンス作業を受け、常に安全かつ快適な運行を維持するための準備が行われています。また、運行を終えた車両が夜間や日中に留置される場所でもあります。

歴史

佐々車両基地は、国鉄松浦線を第三セクター鉄道として引き継いだ松浦鉄道が、1988年（昭和63年）4月1日に開業したのと同時に設置されました。開業当初から、西九州線の車両運用の中核を担ってきました。

その後、車両の世代交代が進む中で、基地にも変化が訪れます。2006年（平成18年）12月には、現在松浦鉄道の主力車両となっている新型車両MR-600形が搬入されました。そして、翌年の2007年（平成19年）3月18日には、このMR-600形が営業運転を開始し、西九州線の風景に新たな彩りを加えることとなりました。一方で、長年にわたり活躍してきた旧型車両も姿を消していきます。特に、開業以来の主力であったMR-100形は、2012年（平成24年）3月25日の引退イベント列車をもって営業運転を終了し、佐々車両基地からその役目を終えました。

所属車両

佐々車両基地には、現在、以下の車両が所属し、西九州線の運行を担っています。

MR-400形: 1両が所属しています。1998年から活躍しています。
MR-500形: 1両が所属しています。1999年から活躍しています。
MR-600形: 12両が所属しており、現在の松浦鉄道の主力形式です。2007年から導入されました。

過去には、松浦鉄道の開業時から運用されていた車両たちが所属していました。

MR-100形: 17両が所属していました。1988年の開業から2012年まで、長きにわたり活躍しました。
MR-200形: 5両が所属していました。1988年から2007年まで運用されました。
MR-300形: 2両が所属していました。こちらも1988年から2007年まで運用され、MR-200形と共にMR-600形への置き換えが進みました。

鉄道イベント

佐々車両基地は、過去には一般公開の場としても親しまれていました。毎年「鉄道の日」の時期に合わせて開催されていた「鉄道の日MRまつり」では、2005年（平成17年）まで基地構内が一般に開放され、多くの鉄道ファンや地域住民で賑わいました。普段見ることのできない車両たちの姿や基地の様子を見学できる貴重な機会でした。ただし、2006年以降は伊万里駅や松浦駅前など、別の場所で開催されるようになり、基地構内の一般公開は行われなくなりました。

佐々車両基地は、松浦鉄道の安全・安定輸送を支える基盤として、今日もその重要な役割を果たし続けています。

関連項目

* 日本の車両基地一覧

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