佐世保川

佐世保川は、長崎県佐世保市の中心部を流れ、佐世保港へと注ぐ二級河川です。流域全体が佐世保市に属し、市街地の形成に深く関わってきました。

水源と流れ

佐世保川は、標高568mの烏帽子岳北側斜面を水源としています。国見山系の南部に位置する溶岩台地を深く刻みながら、川は北西へと流れ下ります。2つの源流が合流する地点には、明治41年（1908年）に築造された山の田水源池があります。

山の田水源池を過ぎると、川は南へと向きを変え、春日町南部から佐世保市の中心部へと流れ込みます。市内を取り巻く山々からの支流である折橋川、福田川、名切川などが合流し、川幅を広げていきます。佐世保川の左岸には佐世保市役所や三ヶ町・四ヶ町商店街といった商業地域が広がり、右岸には佐世保市立総合病院、佐世保公園、ニミッツパーク、海上自衛隊佐世保基地などが位置しています。そして、佐世保川は市街地を抜け、佐世保港へと流れ込みます。

下流域には川に沿って遊歩道が整備されており、市民の憩いの場となっています。また、1月上旬には出初め式、お盆には精霊流し・万灯籠流しなどの伝統行事も行われ、地域住民に親しまれています。

関連施設

山の田水源池

山の田水源池は、佐世保川水系の重要な施設の一つです。堤高24.5m、堤頂長310mのアースダムであり、流域面積は4.5km2、有効貯水量は55.1万tに及びます。明治19年（1886年）に佐世保鎮守府が設置されたことを契機に、海軍の飲料水確保を目的として建設が進められ、明治41年（1908年）に完成しました。現在も1日に8,000tの取水が行われており、佐世保市民の生活を支えています。水源池の周囲には桜が植えられており、春には美しい景観が楽しめます。

新田開発

佐世保川の下流域では、江戸時代に平戸藩の奨励により新田開発が盛んに行われました。天明元年（1781年）に開発された浜田・古新田は現在の浜田町に、寛政元年（1789年）に開発された塩浜・破新田は現在の山県町・白南風町付近に該当します。これらの新田開発は、佐世保の発展に大きく貢献しました。

関連道路と橋梁

佐世保川に沿って、国道35号、国道204号、長崎県道11号佐世保日野松浦線（SSKバイパス）、長崎県道26号佐世保港線（国際通り）などの主要道路が走っています。また、川には多くの橋が架かっており、上流から順に梅田橋、宮田橋、城山橋、高砂橋、天満橋、相生橋、佐世保橋（旧海軍橋）、アルバカーキ橋（歩行者専用）、平瀬橋（SSKバイパス）などがあります。これらの道路や橋梁は、佐世保市内の交通を支える重要なインフラとなっています。

佐世保川は、佐世保の歴史と文化を育んできた川です。水源池や新田開発の歴史、川沿いの風景や行事など、佐世保川は佐世保市民の生活に深く根ざしています。

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