佐久間渡

佐久間渡

佐久間渡（さくま わたる、1893年9月14日 - 1976年12月19日）は、大正から昭和にかけての激動の時代を生きた政治家、実業家、そして弁護士です。栃木県河内郡宇都宮町（現在の宇都宮市）で、玉川菊次郎の四男として生まれましたが、後に佐久間長四郎の養子となり、佐久間家を継ぎました。旧姓は玉川です。

生い立ちと初期のキャリア

1915年（大正4年）に明治大学専門部法律科を卒業後、弁護士として活動を開始しました。この頃から、地域社会への貢献を志し、宇都宮市会議員、そして市議会議長を歴任しました。その後、栃木県会議員にも選出され、さらに県会議長という要職も務めました。実業家としては、昭和製作所の社長として手腕を発揮し、多方面で活躍しました。

国政への進出

1942年（昭和17年）4月、佐久間渡は第21回衆議院議員総選挙に栃木県第1区から翼賛政治体制協議会の推薦を受けて出馬し、見事当選を果たしました。これにより、衆議院議員として1期を務め、その間、翼賛政治会政調内務委員として政治活動に取り組みました。この時期は、第二次世界大戦という未曾有の国難の中で、国の舵取りを担う重要な役割を果たしました。

戦後と公職追放

しかし、終戦後、佐久間渡は公職追放の対象となり、政治の世界から一時的に身を引くこととなりました。これは、戦時中の政治活動が、戦後の新しい価値観や体制と相容れないものと判断されたためです。しかし、追放解除後の1955年（昭和30年）には、再び政治の世界への復帰を目指し、栃木県知事選挙に保守系無所属で立候補しました。結果は残念ながら落選となりましたが、彼の政治への情熱は衰えることなく、生涯を通じて社会貢献への強い意志を持ち続けました。

佐久間渡の生涯は、大正、昭和という激動の時代を背景に、地方から国政へと活躍の場を広げ、政治家、実業家、弁護士として多岐にわたる分野でその才能を発揮した人物として、記憶されるべきでしょう。

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