佐久間製菓

佐久間製菓株式会社は、かつてドロップをはじめとするキャンディ類を製造・販売していた日本の企業です。1908年に佐久間惣次郎商店として創業し、「サクマ式ドロップス」の製造を開始しました。その後、1920年に佐久間製菓株式会社として法人化。長年にわたり、多くの人々に親しまれるキャンディを提供してきました。最盛期には東京都豊島区に本社を、八王子市に工場を構えていましたが、2023年1月に惜しまれつつ廃業しました。

歴史

佐久間製菓の歴史は、1908年の佐久間惣次郎商店の創業に始まります。この時、看板商品となる「サクマ式ドロップス」の製造を開始しました。1913年には、画期的な「缶入りドロップス」を発売し、その後のキャンディ市場における地位を確立しました。1920年には株式会社へと組織変更し、佐久間製菓株式会社が誕生。その後、1938年には山田弘隆が社長に就任し、経営を担いました。

しかし、第二次世界大戦中の1944年11月には、企業整備令により一時的に廃業を余儀なくされます。その後、1948年11月10日に、横倉信之助によって東京都豊島区池袋にて佐久間製菓株式会社が再興されました。戦後の混乱期を経て、佐久間製菓は再びキャンディ製造を開始し、事業を拡大していきました。1958年には、日本で初めての天然果汁入りキャンディ「キャンロップ・カクテル」を開発し、1962年には厚生省許可の「佐久間の咳止めボンボン」を発売するなど、革新的な製品を次々と市場に投入しました。1969年には東京都八王子市に八王子工場を建設し、生産体制を強化しました。1988年には、東京都豊島区池袋に本社ビルを完成させ、同年にはアニメ映画「火垂るの墓」の公開を記念した復刻版ドロップを発売し、話題となりました。また、同年に高果汁キャンディ「Newキャンロップ」を発売しています。

しかし、2023年1月20日、安価な製品との競争激化、新型コロナウイルス感染症の流行による販売減、原材料価格やエネルギー価格の高騰、そして人員確保の困難といった複合的な要因が重なり、佐久間製菓は廃業を決定しました。長年親しまれた赤い缶の「サクマ式ドロップス」は、多くの人に惜しまれながらも、その歴史に幕を閉じました。

事業所

本社：東京都豊島区池袋2-51-13
八王子工場：東京都八王子市東浅川町503
大阪営業所：大阪府大阪市中央区瓦屋町1-5-20

主な製品

サクマ式ドロップス
サクマ式ハッカドロップス
キャンロップ・ヨーグルト

サクマ製菓との違い

佐久間製菓と似た名前のサクマ製菓株式会社は、現在も存続しています。両社は、もともと同じ前身企業を持っていましたが、戦時中に企業整備令によって解散した際に、旧会社の幹部がそれぞれ別の会社を立ち上げたため、資本関係や人的関係はほとんどありません。そのため、両社はそれぞれ独立した経営を行っています。

サクマ製菓は、緑色の缶に入った「サクマドロップス」や「いちごみるく」などを販売しています。一方、佐久間製菓は、赤い缶の「サクマ式ドロップス」や「キャンロップ」などを販売していました。なお、両社はかつて「サクマ式ドロップス」の商標を巡って裁判を起こしたことがあり、最終的には佐久間製菓が商標を取得しましたが、その後和解し、現在は両社で商標を共同保有しています。

佐久間製菓は、その長い歴史の中で、数々の名作キャンディを世に送り出してきました。廃業という形にはなりましたが、その功績は今後も語り継がれていくことでしょう。赤い缶の「サクマ式ドロップス」は、多くの人の記憶の中に、甘い思い出として残り続けるでしょう。

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