佐井富子

佐井 富子

佐井 富子（さい とみこ）は、1980年2月14日生まれの日本の元女子プロレスラーである。リングネームとしてアキュート冴（アキュート さえ）、後に市川狐火名（いちかわ こびな）も用いた。短い現役生活ながら、その存在感と実力でファンに強い印象を残した。

プロレスラーとしてのキャリアは、1998年1月23日に神奈川県の川崎市体育館で行われた池田麻奈美戦で幕を開けた。デビュー後間もなく、リングネームを本名の佐井富子からアキュート冴へと改めた。

主な活動の場はJWP女子プロレスであったが、並行してNEO女子プロレスにも定期的に参戦していた。NEOでは特に西千明とタッグチーム「反マシンガンズ同盟」を結成。NEOの看板タッグチームであったNEOマシンガンズ（タニー・マウス、宮崎有妃）との激しい抗争を展開し、板橋グリーンホール認定タッグ王座を獲得するなど、その実力を示した。2001年には、JWPでの試合では市川狐火名、NEOでの試合ではアキュート冴と、所属団体によってリングネームを使い分けるというユニークなスタイルを取るようになった。同年12月8日には、米山香織、仲村由佳との三つ巴戦を制し、JWP認定ジュニア王座を獲得するなど、シングルプレイヤーとしても頂点に立っている。

しかし、長年にわたり抱えていた頸椎の負傷が悪化し、プロレスを続けることが困難になったため、2002年に現役引退を決意した。引退試合は同年6月16日、東京キネマ倶楽部で開催されたJWPの大会で、同期の春山香代子を相手にしたエキシビションマッチであった。

JWPでの引退試合に先立ち、NEOでは2002年6月8日に北沢タウンホールで「お別れセレモニー」が開催された。このセレモニーは、当時引退したばかりの北斗晶のセレモニーをオマージュしたパロディ形式で進行したが、リングサイドにはアキュート冴や市川狐火名、さらには吉備団子といった、彼女がキャリアの中で使用した様々なコスチュームが展示された。このNEO側の心温まる計らいにより、当の本人はもちろんのこと、長年のライバルであったマシンガンズや同期の仲村由佳らも感極まって涙を流すという、非常に感動的なセレモニーとなった。

引退から数年後の2005年には、その功績が認められ、NEO殿堂入りを果たした。NEOにおいて、他団体所属でありながら殿堂入りを果たしたのは、彼女と、2010年に選出されたJWPの先輩レスラーである日向あずみのわずか2名のみであり、これは彼女がNEOのマットに残した足跡の大きさを物語っている。

佐井富子（アキュート冴、市川狐火名）は、怪我によって惜しまれつつリングを去ったが、そのパワフルなファイトスタイルとリング上での個性は、多くのファンの記憶に刻まれている。

得意技

一本背負い
腕ひしぎ逆十字固め

タイトル歴

JWP認定ジュニア王座
板橋グリーンホール認定タッグ王座

入場テーマ曲

* 「冬のセーター」（BLANKEY JET CITY）

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