春山香代子

春山 香代子（はるやま かよこ）

日本の女子プロレス界において、一時代を築いた実力派の一人、春山香代子（はるやま かよこ）は、1979年3月5日に福岡県福岡市に生を受けました。彼女のプロレスキャリアは、長年にわたり女子プロレス団体JWP女子プロレスを中心に展開されました。

キャリア初期と台頭

春山選手のリングデビューは1998年1月23日、神奈川県の川崎市体育館で開催された大会でのことでした。この時の対戦相手は渡辺えりか選手です。キャリアの早い段階からその才能の片鱗を見せ始め、同年7月12日には、第3回蒼星杯（ブルースターカップ）において、強豪が揃う中で巴戦を制し、見事優勝を果たしています。

タッグ戦線での活躍

タッグチームとしても春山選手は大きな実績を残しました。特に、倉垣翼選手とのタッグチーム「春倉」は、JWPのタッグ戦線において圧倒的な存在感を放ちました。2007年8月12日、板橋グリーンホールで行われた試合で、この「春倉」としてJWP認定タッグ王座を獲得。さらに2010年12月23日には、後楽園ホールで阿部幸江＆アジャ・コング組を破り、再び同タッグ王座に返り咲きました。また、「春倉」として出場した「JWPタッグリーグ・ザ・ベスト2011」では、リーグ戦を勝ち抜いて優勝を果たしています。2015年には、アイスリボンの希月あおい選手と組んだタッグチーム「オレンジハッピーズ」として「JWPタッグリーグ・ザ・ベスト2015」に出場し、自身4年ぶり2度目となるこのリーグ戦の優勝を飾るなど、タッグプレイヤーとしても確固たる地位を築きました。

シングル最高峰への挑戦と栄光

春山選手のキャリアにおける最大の功績は、JWP認定無差別級王座を巡る活躍でしょう。2008年4月29日、プロレスの聖地とも称される後楽園ホールで、当時の王者である日向あずみ選手を破り、自身初のJWP認定無差別級王座を獲得しました。この王座は、団体の最高権威を示すベルトです。春山選手はこのベルトを実に8回にわたり防衛し、その牙城を守り続けました（この連続防衛記録は、後に米山香織選手によって更新されるまで、JWP無差別級王座における最長記録でした）。

一度王座を失った後も、春山選手の最高峰への執念は尽きませんでした。2012年4月22日、再び後楽園ホールで、かつてのタッグパートナーである倉垣翼選手との激闘を制し、2度目のJWP認定無差別級王座戴冠を果たします。この王座は同年10月28日、東京キネマ倶楽部での試合でさくらえみ選手に敗れて手放すこととなりましたが、彼女の活躍はそこで終わりませんでした。

プロレス人生の最終章を迎える2015年4月5日、春山選手は後楽園ホールで行われたタイトルマッチにおいて、中島安里紗選手に挑戦。この一戦を「自身最後の挑戦」と明言して臨み、見事に勝利を収め、3度目となるJWP認定無差別級王座戴冠を果たしました。この王座は同年7月11日、新宿FACEでコマンド・ボリショイ選手に敗れて失いましたが、有終の美を飾るにふさわしい輝かしいベルト奪取でした。

必殺技と得意技

春山選手は、印象的なオリジナル技を数多く使いこなしました。中でも「キーンハンマー」は、彼女の代名詞とも言える必殺技です。相手をボディスラムの体勢で持ち上げ、自身の右側に落とすという変形のドライバーであり、コマンド・ボリショイ選手やシャーク土屋選手、田村欣子選手、元気美佐恵選手、輝優優選手といった多くの実力者、そして先輩レスラーからもこの技で勝利を収めています。その他にも、コーナー上の相手に仕掛ける「雪崩式ギロチンドロップ」や「ダイビング・ギロチン」、相手の両腕を固めて投げるスープレックス「オレンジ☆ブロッサム」、コーナーから仕掛ける顔面攻撃「オレンジ☆トマホーク」、そして「スノーボム」や「KAYOKOスペシャル」など、多彩な技で観客を魅了しました。

タイトル歴

JWP女子プロレスを中心に、春山選手は数多くのタイトルを獲得しています。

JWP認定ジュニア王座
JWP認定タッグ王座
全日本シングル王座
全日本タッグ王座
デイリースポーツ認定女子タッグ王座
JWP認定無差別級王座（3回戴冠：第13代、第19代、第24代）
* 蒼星杯 優勝（1998年）

これらのタイトルは、春山選手の幅広い実力と実績を物語っています。

引退

2015年7月11日、JWP認定無差別級王座を失ったその場で、春山選手は同年12月27日の後楽園ホール大会をもって現役を引退することを発表しました。そして迎えた引退試合では、因縁深いライバルであり、タッグパートナーでもあった倉垣翼選手と対戦。激闘の末、自身のプロレスキャリアに終止符を打ちました。長年の激しい戦いから身を引いた後も、女子プロレス界のOGとして、彼女の存在は多くのファンや後輩レスラーたちの記憶に残っています。春山選手のプロレス人生は、その卓越した技術と不屈の闘志をもって、日本の女子プロレス史に確かな足跡を刻みました。

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