佐伯敏子 (写真家)

佐伯敏子 - 写真家・歌人の軌跡

佐伯敏子（さえき としこ）は、1906年3月12日に熊本県熊本市に生まれました。彼女は私立女子英学塾（後の津田塾大学）を卒業し、教育者としても活動をしていました。1927年から1931年まで、桜蔭高等女学校の教員として勤めた後、1947年には「津田英語会」を立ち上げ、同会の講師としても活動を開始しました。私生活では1928年に結婚し、二男二女を授かりました。1942年には東京都世田谷区に移住し、新しい生活を始めました。

1950年代に入ると、敏子は自宅の周囲に訪れる野鳥に親しむようになり、日常の家事の合間を利用して観察を続けました。1955年、日本野鳥の会に入会し、専門的な知識を深める中で、次第に彼女の自然に対する関心は高まっていきました。

1958年頃からは、子供のおもちゃのカメラを手に取り、野鳥の写真撮影を始めることになります。その後、自分自身に適したカメラを入手し、ツグミ、オナガ、キジバトなど、さまざまな野鳥の姿をカメラに収めました。彼女の観察は、ただの趣味にとどまらず、自然への愛情とともに深化し、1970年代には多くの作品を世に送り出すことになります。

1962年には、日本鳥類保護連盟から野鳥の保護活動に対して感謝の意を示す褒状を受け、同年に日本鳥類保護連盟及び日本自然保護協会に入会し、自然環境の保護に向けた活動を広めました。その活動の一環として、アララギ短歌会に参加し、旧姓「梅村」にて短歌を寄稿するようになります。彼女の詩は、日々の自然の美しさや存在を捉えたものであり、自然と人間との関係を詠み上げるものでした。

写真家としての彼女の活動は1962年に発表した『庭にくる鳥 - 佐伯敏子写真集』に凝縮されています。この写真集は彼女が長年にわたり撮影した野鳥の姿と、彼女の視点から捉えた自然の美を表現しています。続けて1966年には第2集、1976年には第3集を刊行し、野鳥の魅力を広く伝えました。これらの作品は、彼女の観察眼と感受性が生み出したものであり、永続的な美しさを持つものです。

1984年、佐伯は86歳でこの世を去りましたが、彼女が残した自然への愛と観察の成果は、今でも多くの人々に感動を与え続けています。彼女の写真や短歌は、彼女の心と自然を結ぶ架け橋として、人々に語りかけることでしょう。

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