ツグミ

ツグミ（鶇）について

ツグミ（Turdus eunomus）は、スズメ目ツグミ科に属する鳥で、特に日本の冬鳥として知られています。かつてはハチジョウツグミの亜種として分類されていましたが、現在は独立した種として扱われています。この鳥は中華人民共和国南部、台湾、日本、ミャンマー北部、ロシア東部に生息し、夏季にはシベリアで繁殖し、冬季になると南下して越冬地に移動します。日本では冬の訪れとともに見られることが多く、その鳴き声が和名の由来とされています。

分布と生息地

ツグミは特にシベリア中部や南部で繁殖し、秋になると日本全国に飛来します。越冬地では、初めは山地の森林に群れで生息し、徐々に平地や農耕地へと移動し、分散していく傾向があります。日本の多くの地域で見られるため、非常に身近な存在でもあります。これは、特に冬季に多くの人々がその鳴き声を耳にする機会が多いためです。

形態

ツグミは全長約24センチメートル、翼を広げると約39センチメートルに達します。羽の色彩には個体差があり、ハチジョウツグミとの中間的な姿を持つこともあります。嘴は黒色で、下部には黄色の部分があります。後肢はピンクがかかった褐色で、特に若い個体ではこの特徴が顕著です。全体的な羽衣は、黒褐色の頭頂から淡黄色の喉、胸、腹部へと続く美しいグラデーションが見られます。翼の外側は黒褐色で、羽縁には赤褐色が見られ、雌雄の違いはほとんどありません。

生態と食性

ツグミは多様な環境に適応しており、平地から山地までの森林、草原、農耕地などに生息しています。越冬地においては、まず山地の森林に集まり、冬が進むにつれて平地へと移動していきます。食性は主に雑食性で、昆虫や果物を好んで摂取します。農耕地や河川の近くでの採食が一般的ですが、特に開けた地点での地域的な食物連鎖にも関与しています。

文化的背景

ツグミは日本の食文化にも深く関わっており、特に岐阜県東濃地方では野鳥を食べる文化がありました。かつては、山中に鳥捕り用のカスミ網を張り、ツグミやアトリなどの野鳥を料理に用いる「トヤバ」と呼ばれる場所が存在しました。中津川市ではツグミを使った粕漬けが名物として知られていました。しかし、1947年にカスミ網による捕獲が禁止され、ツグミは保護鳥として扱われるようになりました。それでも、昭和40年代まで密猟が行われていたことが日本野鳥の会による調査で報告されています。

結論

ツグミはその特異な鳴き声と雑食性から、日本の冬に欠かせない存在です。野鳥としての生態や文化的な関与は、私たちの生活に豊かな彩りを与える重要な要素ともいえるでしょう。

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