佐佐木茂索

佐佐木茂索：多才な才能を発揮した小説家、編集者、実業家

佐佐木茂索（1894年11月11日 - 1966年12月1日）は、小説家、編集者、そして実業家として、日本の文学界、出版界に大きな足跡を残しました。文藝春秋新社の社長としても知られています。

生い立ちと文学への道

京都府で代々種油製造業を営む家に生まれましたが、父親の代に家業は没落。京都府第一中学校を中退後、朝鮮の仁川にいた叔父のもとに身を寄せました。1918年に帰国後、『子宝』の記者、新潮社、中央美術社、時事新報社などで働きながら、1919年に『新小説』に「おじいさんとおばあさんの話」を発表し、作家としてデビューを果たしました。芥川龍之介に師事し、その才能を開花させていきます。

作家としての活動と芥川龍之介

1925年に発表した「曠日」は芥川龍之介から賞賛を受け、同年には芥川の媒酌で大橋房子と結婚。順風満帆な作家生活を送るかに見えましたが、長編小説1編と短編小説約90編を発表した後、1930年を最後に作家としての筆を折りました。

文藝春秋での活動と晩年

作家活動に区切りをつけた佐佐木は、文藝春秋の幹部として活動。専務を務めていた1933年には、不良華族事件の捜査の過程で発覚した文士らによる常習賭博事件に関与し、検挙されるという出来事もありました。しかし、1935年には菊池寛らとともに芥川龍之介賞および直木三十五賞を創設し、選考委員の一人として、後進の育成に尽力しました。

第二次世界大戦後は公職追放により一時的に出版界から退きましたが、戦後、文藝春秋新社（現・文藝春秋）の社長として復帰。亡くなるまでその職を務め、出版界の発展に貢献しました。

多趣味な人物像

佐佐木茂索は、多趣味な人物としても知られています。将棋は三段、囲碁は初段（いずれもアマチュア）の腕前を持ち、麻雀は八段という腕前でした。日本麻雀連盟の第7代総裁も務めています。しかし、同じく将棋好きであった菊池寛と対局している姿を見た者はいないそうです。

著書一覧

『春の外套』金星堂、1924年
『夢ほどの話』新潮社、1925年
『南京の皿』改造社、1928年
『新選佐佐木茂索集』改造社 1929年
『新進傑作小説全集第3巻 佐佐木茂索集』平凡社、1929年
『佐佐木茂索小説集』文藝春秋、1967年
* 『佐佐木茂索随筆集』文藝春秋、1967年


佐佐木茂索は、小説家としてだけでなく、出版界の重鎮として、そして多趣味な文化人として、昭和の時代を彩った人物でした。

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