佐川清

佐川清の生涯

佐川清（さがわ きよし）は、1922年3月16日に新潟県で生まれ、2002年3月11日に亡くなった日本の実業家です。佐川急便株式会社の創業者であり、初代社長・会長を務めました。

生い立ちと起業

佐川は、新潟県の旧家に生まれ、有恒学舎で学んだ後、家業に従事しました。1948年には建設業「佐川組」を設立し、その後、運送業へと転身します。1957年、佐川は妻と共に自転車2台で運送業を始めました。中小企業の小口貨物に焦点を当て、顧客を開拓し、1966年には「佐川急便」株式会社を設立しました。

佐川急便の成長

佐川急便は、日曜集配や運転手の集金担当制など、革新的な発想で事業を拡大しました。また、徹底したノルマ制を導入し、社員に長時間労働を強いる一方で、同業他社よりも高水準の賃金を保証する独特の経営手法を取りました。高度経済成長期の道路網整備を背景に、佐川急便は急速に成長し、創業から約30年で日本通運と並ぶ大企業へと発展しました。

政界・芸能界との交流

佐川は、同郷の田中角栄元首相をはじめ、政界、芸能界、スポーツ界に幅広い人脈を持っていました。特に、歌手の橋幸夫の大ファンであり、自身のレコード会社「リバスター音産」を設立して彼を迎え入れたことは有名です。

東京佐川急便事件

佐川急便の急成長の陰で、強引な商法が問題となりました。1992年には、東京佐川急便の旧経営陣が暴力団関係者などに巨額の融資・債務保証を行ったとして「東京佐川急便事件」が発覚しました。この事件では、元新潟県知事や自民党副総裁も関与が明らかになり、政界を揺るがす大事件となりました。

この事件をきっかけに、佐川急便の不透明な経理や国会議員への働きかけも指摘され、佐川自身も体調不良を理由に国会の証人喚問を拒否しました。事件後、グループの再編が行われましたが、佐川と現経営陣との対立は解消されませんでした。

その後

2002年1月には、佐川が自身の所有する佐川急便株を政治団体幹部に譲渡していたことが明らかになり、同年3月11日に急性心不全のため亡くなりました。享年80歳。

エピソード

湾岸戦争の際、邦人救出に使われたトルコ航空機のチャーター費用は佐川が負担したとされています。

著書

佐川は、自身の経営哲学や佐川急便の成長について、以下の著書を執筆しました。

『ふりむけば年商三千億―佐川急便成長の核心』
『裸一貫の帝王学』
『絶望! 佐川急便に明日はない』（聞き手：松家靖）
『佐川急便の乱脈経営を糾弾する』
* 『創業者からの遺言』

関連人物

佐川は、プロレスラーのアントニオ猪木やジャンボ鶴田、少年軟式野球国際交流協会などとも関係がありました。

佐川清は、一代で佐川急便を大企業に育て上げた功績と、その一方で、強引な経営手法や不祥事を引き起こした人物として、その名が歴史に刻まれています。

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