佐田岬メロディーライン

佐田岬メロディーライン

佐田岬メロディーラインは、愛媛県八幡浜市から西宇和郡伊方町に至る国道197号の愛称で、佐田岬半島の背骨をなぞるように、付け根から先端まで約40kmに渡って延びる道路です。その名の通り、佐田岬の自然を象徴する風や波、野鳥のさえずりといった音が、まるでメロディーのように感じられることから名付けられました。さらに、一部区間にはメロディー道路が導入されており、走行時のタイヤの摩擦音によって音楽を奏でる仕掛けも楽しむことができます。

概要

佐田岬メロディーラインは、日本一細長いとされる佐田岬半島の尾根を縫うように走っており、その最大の特徴は、道路の両側に広がる雄大な海の眺望です。東には穏やかな瀬戸内海、西には豊かな宇和海が広がり、変化に富んだ海岸線の景色を眺めながらドライブを楽しむことができます。起点となる八幡浜市から、終点の伊方町三崎港まで、約40キロメートルに及ぶ区間がメロディーラインと呼ばれています。

「メロディー」の由来は、佐田岬半島の豊かな自然から連想されたもので、当初は自然の音を指していました。後に、メロディー道路工法が導入され、実際にタイヤの走行音でメロディーが奏でられるようになりました。このユニークな試みは、ドライブの楽しみをさらに豊かなものにしています。

路線データ

起点：愛媛県八幡浜市
終点：愛媛県西宇和郡伊方町三崎
延長：38.9km
車線数：完成2車線

歴史

以前の国道197号は、海岸線に沿って走る幅の狭い道路で、線形も悪く、台風や大雨の際には土砂崩れによって通行止めになることが頻繁にありました。そのため、この区間は「イクナ（行くな）酷道」「酷道イクナ線」と呼ばれ、ドライバーにとっては難所でした。また、ルートの中間付近にはトンネルが連続する場所もありました。

しかし、佐田岬メロディーラインの開通によって、道路状況は大幅に改善され、人々の移動をより快適かつ安全なものとしました。この道路の開通は、国道九四フェリーの増便にも繋がり、八幡浜と臼杵を結ぶ宇和島運輸や九四オレンジフェリーにも影響を与えました。また、この開通を記念して、昭和63年から佐田岬メロディーライン駅伝競走大会が開催されています。

年表

1970年（昭和45年）：事業着手
1976年（昭和51年）8月12日：八幡浜市内部1.1km完成
1976年（昭和51年）12月21日：三崎トンネル開通
1987年（昭和62年）12月4日：全線完成
2011年（平成23年）2月25日：「メロディー道路」完成記念式典開催

路線状況

佐田岬メロディーラインは、稜線上にあるため見晴らしが非常に良く、快適なドライブを楽しむことができます。沿道には道の駅が2箇所あり、ドライブの休憩スポットとして人気を集めています。道の駅伊方きらら館、道の駅佐田岬半島ミュージアム、大久展望台など、絶景を楽しめる場所が点在しています。また、八幡浜港や三崎港からはフェリーが出ており、九州へ渡るための重要なアクセス路にもなっています。

特に注目すべきは、国道197号でスリップや速度超過による事故が多発していたことから導入された「メロディー道路」です。この道路は、アスファルト舗装に溝を掘り、タイヤの摩擦音で音を奏でるというユニークな仕掛けが施されており、交通事故抑制と観光資源としての活用が期待されています。道の駅佐田岬半島ミュージアム前の国道を八幡浜方面へ走ると、約430mの区間で「みかんの花咲く丘」のメロディーを聴くことができます。

道路施設

佐田岬メロディーラインには、以下のトンネルがあります。

大峠トンネル（八幡浜市）
丸岡トンネル（伊方町中浦）
中浦トンネル（伊方町中浦 - 川永田）
川永田トンネル（伊方町川永田）
九町トンネル（伊方町川永田 - 九町）
塩成第一トンネル（伊方町塩成）
塩成第二トンネル（伊方町塩成 - 川之浜）
川之浜第四トンネル（伊方町川之浜）
名取トンネル（伊方町名取 - 二名津）
三崎トンネル（伊方町二名津 - 三崎）

地理

佐田岬メロディーラインは、四国の西端に位置する佐田岬半島の尾根沿いに延びており、緩やかなカーブが続く高台を走るため、眺望が非常に優れています。特に南側の宇和海の展望が素晴らしく、宇和島運輸や九四オレンジフェリーが航行する様子を眺めることができます。また、権現山付近には「せと風の丘」と呼ばれる場所に11基の風力発電の風車が並んでおり、その景色も一見の価値があります。権現山の山頂や風車群へアクセスできる道路もメロディーラインと繋がっており、絶景を楽しむことができます。

半島の先端に近づくと、三崎で海岸線に到達し、三崎港フェリーターミナルから国道九四フェリーで海を渡ることができます。なお、メロディーラインの終点である三崎港から、佐田岬の先端までは旧来の道路である愛媛県道256号佐田岬三崎線を利用し、駐車場からさらに20分ほど歩くと、四国最西端の佐田岬に辿り着きます。

沿線

道の駅伊方きらら館
道の駅佐田岬半島ミュージアム
佐田岬
大久展望台
大久海岸

関連項目

バイパス道路
四国地方の道路一覧
国道197号
メロディーロード

脚注

参考文献

佐々木節、石野哲也、伊藤もずく 著、松井謙介編 編『絶景ドライブ100選［新装版］』学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015年9月30日。ISBN 978-4-05-610907-8。
須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。
中村淳一編 編『日本の絶景ロード100』枻出版社、2018年4月20日。ISBN 978-4-7779-5088-1。

外部リンク

伊方町観光スポット

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