佐竹徳

佐竹 徳 (さたけ とく)

佐竹徳は、1897年11月11日に大阪府大阪市で生まれた日本の洋画家です。1998年2月3日に亡くなるまで、彼は日本芸術院の会員として芸術界に多大な影響を与えました。また、岡山県瀬戸内市の名誉市民でもあり、その絵画は地域文化に深く根ざしています。

経歴

佐竹は関西美術院で鹿子木孟郎に学び、東京の川端画学校では藤島武二の指導を受けました。さらに、安井曾太郎の影響も色濃く受け、本格的な洋画の技術を磨いていきました。彼の作品には、ポール・セザンヌの影響が特に表れており、坂田一男との出会いがその導きとされています。

彼のキャリアは、1917年に文展に初入選したことで始まりました。1920年には帝展で入選し、翌1921年には特選を受賞しました。こうした成功を経て、彼は芸術家としての地位を確立していきます。1923年には賀川豊彦の影響を受けてキリスト教に改宗するなど、精神的な成長もありました。

1940年から約20年間、佐竹は青森県の奥入瀬渓流を創作の拠点として利用し、「渓流の画家」として知られるようになりました。49歳の時、彼は名を「佐竹徳」と改め、独自のスタイルを追求し続けました。1959年に旧友の阿藤秀一郎の紹介で岡山県・牛窓を訪れ、1963年頃からはそこにアトリエを構え、地元の自然を題材にした作品を多く手掛けました。

特にオリーブの描写に情熱を注ぎ、彼はその美しさを表現することで高く評価されました。1967年には日展で「オリーブと海（牛窓）」という作品を発表し、内閣総理大臣賞を受賞。その後1968年には日本芸術院賞も受賞し、さらなる評価を得ました。

佐竹は牛窓に対して特別な思いを抱いており、「僕がオリーブに惹かれるのはセザンヌの絵を見ていて得た感覚から」と語っています。彼にとって牛窓の赤い土と青味がかった緑のオリーブは、長年探し続けた「理想的な景色」であったようです。

1991年には日本芸術院会員となり、日展の顧問としても活動しました。しかし、その才能は世代を超えて感動を与え続けました。そして、1998年に岡山の病院で肺炎により100歳でこの世を去りました。

受賞歴

• - 1967年: 日展 内閣総理大臣賞
• - 1968年: 日本芸術院賞
• - 1989年: 中村彝賞
• - 1990年: 岡山県文化賞
• - 1991年: 三木記念賞
• - 1993年: 牛窓町名誉町民

佐竹の作品は「佐竹徳画集」としてもまとめられ、1994年に日動出版から発行されました。2010年に牛窓に開館した瀬戸内市立美術館では、彼の油彩画がコレクションの中心として展示されており、今もなお人々に感動を与えています。

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