佐竹義人

佐竹義人とは

佐竹義人（さたけ よしひと）は、室町時代に活躍した武将であり、常陸国（現在の茨城県）を拠点とする佐竹氏の第12代当主です。彼は、関東管領であった上杉憲定の次男として生まれましたが、佐竹氏の養子となり、その家督を継承しました。彼の生涯は、室町時代の激動する政治情勢に翻弄されながらも、佐竹氏の存続に尽力したものでした。

生涯

1400年、佐竹義人は上杉憲定の次男として誕生しました。幼名は龍保丸と名付けられ、後に上杉義憲と称しました。しかし、佐竹氏の第11代当主であった佐竹義盛が後継者を残さずに亡くなったため、1407年に義盛の娘である源姫と結婚し、佐竹氏の家督を継ぐことになります。この際、名前を義人に改めました。この家督相続は、一族の山入家からの反発があり、円滑に進みませんでした。

義人は、鎌倉公方足利持氏の支援を受け、山入氏の反乱を鎮圧しました。上杉禅秀の乱では、足利持氏を支持し、反乱軍と戦いました。しかし、室町幕府の将軍足利義教からの圧迫を受け、持氏討伐に加担することになります。その後、持氏が滅亡すると、義人は幕府からの圧力を受け、佐竹氏の家督を嫡男の義俊に譲ることで、一旦は許しを得ます。しかし、山入氏との対立は続き、晩年には実子である義俊を遠ざけ、養子である実定を偏愛するなど、佐竹氏の内部は混乱しました。1468年、義人は68歳でこの世を去りました。

佐竹氏の家督相続

義人の家督相続は、佐竹氏の内部対立を招きました。山入家は、義人の家督相続に反対し、室町幕府の支援を受けて、義人に対抗しました。義人は、足利持氏や幕府の支援を受けながら、これらの対立を乗り越え、佐竹氏の勢力を維持することに尽力しました。

室町幕府と鎌倉府との関係

義人は、室町幕府と鎌倉府の間で、複雑な立場に置かれました。彼は、当初、鎌倉公方である足利持氏を支持していましたが、後に室町幕府の将軍足利義教から持氏討伐を命じられるなど、立場を転々としました。その結果、佐竹氏の勢力は大きく揺らぎました。

上杉氏との関係

義人は、関東管領上杉氏の出身であり、上杉氏との関係も複雑なものでした。彼は、上杉氏の力を背景に佐竹氏の家督を継ぎましたが、後に上杉氏と対立し、佐竹氏の内部で混乱を引き起こしました。晩年は、実子である義俊を遠ざけ、養子である実定を偏愛し、上杉氏の家督を実定に継がせようと画策したことが、佐竹氏内部の更なる混乱を招きました。

死後

義人の死後、佐竹氏の家督は、一時的に追放されていた嫡男の義俊が継ぎました。しかし、佐竹氏の混乱は続き、その後の時代にも、佐竹氏の内部対立や外部勢力との戦いが繰り広げられることになりました。

備考

佐竹氏をはじめとする「常陸源氏」は、地域の土着神に代わって、石清水八幡宮から八幡神を積極的に勧請しましたが、義人の時代になると、勧請元が鎌倉の鶴岡八幡宮に変化しました。これは、石清水系の八幡社が、山入氏など義人の佐竹氏入嗣に反対する諸氏とのつながりが強かったため、義人は同じ八幡宮でも関東管領上杉氏とも密接であった鶴岡八幡宮との関係を強めて対抗しようとしたと考えられています。

まとめ

佐竹義人は、室町時代の激動の中で、佐竹氏の家督を守り抜いた武将です。複雑な政治情勢や一族の内紛に翻弄されながらも、佐竹氏の存続に尽力しました。彼の生涯は、室町時代の武士の姿を象徴していると言えるでしょう。

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