佐竹義栄

佐竹義栄の生涯

佐竹義栄（さたけ よしなが）は、1914年（大正3年）9月17日に生まれ、1983年（昭和58年）12月6日に没した、昭和期の華族です。佐竹宗家35代当主であり、侯爵として貴族院議員も務めました。位階は正五位。

父は華族の佐竹義春、母は九条道実の長女である兼子です。1938年（昭和13年）に東北帝国大学法文学部（現在の東北大学法学部、文学部、経済学部）を卒業後、保険院、企画院、技術院で嘱託や参技官を歴任しました。1944年（昭和19年）5月15日に父の死去に伴い侯爵を襲爵。同年9月17日には満30歳を迎え、貴族院侯爵議員に就任し、火曜会に所属しました。1947年（昭和22年）5月2日の貴族院廃止までその任を務めました。

戦後は、社会貢献活動にも積極的に関与し、子どもの家理事（埼玉県）、秋田県育英会理事長などを務めました。また、1947年（昭和22年）8月12日に昭和天皇が戦後巡幸で秋田県を訪問された際には、秋田市内の別邸を宿泊所として提供しました。これは、天皇の地方巡幸における宿泊施設が不足していた状況において、大変な貢献となりました。

1983年（昭和58年）12月6日、東京で生涯を閉じました。遺言により、藩政時代の居城であった久保田城跡（現在の千秋公園）の土地約14.6ヘクタールを秋田市に寄贈しました。この寄贈は、郷土への深い愛情と、文化遺産を未来に継承しようとする強い意志を示すものでした。

親族

妻は徳川義親の三女である佐竹百合子。長男は佐竹義忠（1939年生、1945年没）。養子に、百合子の兄である大給義龍の二男・佐竹孝がいます。また、妹は鍋島直紹の妻である鍋島則子です。従兄弟には、松坂屋名誉会長の伊藤次郎左衛門がいます。

佐竹義栄の功績

佐竹義栄は、華族としての責務を果たすとともに、教育や社会福祉の分野でも貢献しました。また、戦後の混乱期において、天皇の地方巡幸を支え、復興を後押ししました。そして、自らの資産を惜しみなく社会に還元したことは、多くの人々に感銘を与えました。

特に、久保田城跡の寄贈は、秋田市の歴史と文化を後世に伝える上で非常に重要な役割を果たしています。佐竹義栄の生涯は、日本の近代史における華族の役割と、その社会貢献のあり方を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

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