佐竹義路

佐竹義路（さたけ よしみち）

佐竹義路は、寛保2年（1742年）に生まれ、寛政3年（1791年）に没した、江戸時代中期に出羽久保田藩に仕えた重臣です。佐竹東家の12代目当主であり、その生涯は波乱に富んでいました。

生い立ちと宇都宮氏の継承

義路は、佐竹東家11代目当主・佐竹義智の次男として生まれました。幼少の頃は、久保田藩の重臣である宇都宮氏を継ぎ、宇都宮武綱と名乗っていました。この際、通称として帯刀を称していました。しかし、後に実家の佐竹東家に戻り、名を義路、通称を将監・山城と改めました。義路の家族構成は複雑で、姉は岩崎藩主嗣子佐竹義敏に嫁ぎ、兄は義武（源六郎）、妹は多賀谷敦敬と茂木若狭にそれぞれ嫁いでいます。また、弟には多賀谷敦候（下総、敦敬の養子）がいます。

佐竹東家への復帰と藩政

義路は、当初宇都宮氏の家督を継ぎましたが、兄の義武が早世したため、宇都宮氏の家督を戸村氏からの養子である章綱に譲り、佐竹東家に戻りました。その後、佐竹東家の家督を相続し、藩政に携わることになります。安永元年（1772年）には、京都の公家である高倉家の八千丸との養子縁組を藩に願い出ますが、年齢を理由に却下されています。しかし、安永7年（1778年）には700石の加増を受けるなど、藩内での地位を確立していきました。

隠居と晩年

寛政元年（1789年）5月7日、義路は隠居し、家督を長男の義府に譲りました。そして、寛政3年（1791年）10月7日、50歳でその生涯を閉じました。義路の死後、佐竹東家には大きな出来事が起こります。文化2年（1805年）、長男の義府が飲酒の上で人を殺傷するという事件を起こし、隠居を命じられ、弟の敦候の多賀谷氏邸に幽閉されることとなりました。この不祥事により、佐竹東家の家督は藩主一族である佐竹義敦舎弟・佐竹義方の子・義冨が相続することになりました。この一件により、義府は一部の系譜類で当主から除外されることもありました。

まとめ

佐竹義路は、宇都宮氏から佐竹東家に戻り、その家督を継承した人物です。藩政に貢献する一方で、養子縁組が却下されたり、子息の不祥事により家系に影響が出たりするなど、複雑な人生を送りました。彼の生涯は、当時の藩社会における様々な出来事を映し出す鏡とも言えるでしょう。

参考文献:
* 三浦賢童編「秋田武鑑」(無明堂出版、1981年初版、原著は「久保田家中分限帳」の著者)

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