佐藤幸治 (ボクサー)

佐藤 幸治（さとう こうじ）は、1980年12月11日生まれ、福島県相馬市出身（千葉県野田市育ち）の元プロボクサーであり、アマチュアボクシング選手としても活躍しました。西武台千葉高等学校、日本大学を卒業後、プロキャリアでは帝拳ボクシングジムに所属しました。

人物・家族

佐藤氏はボクシング一家の次男として育ちました。父は実業家であり、4人の兄弟全員がボクシングの道に進んでいます。長男の賢治氏は全日本選手権を制しプロ入り、三男もアマチュアの強豪として知られ、四男の貴則氏もインターハイや高校選抜で優勝を遂げるなど、兄弟揃って高い実績を残しています。特筆すべきは、兄弟全員が同じ高校・大学でボクシングに打ち込んだことです。

リングを離れた場面でも、佐藤氏はその行動力を見せました。2008年、グアムでのキャンプ中に池に転落し心肺停止となった少年を発見。迅速な救助活動と心臓マッサージにより、少年の命を救う貢献をしました。

輝かしいアマチュア時代

中学3年で兄の影響を受けボクシングを始めた佐藤氏は、アマチュアで驚異的な記録を打ち立てます。高校3年時にはライトウェルター級で国体、インターハイ、高校選抜の高校三冠を達成。さらに高校生として日本で初めてアジアジュニア大会に出場し銀メダルを獲得しました。

日本大学に進学後もその勢いは止まらず、1年時にはウェルター級、2年から4年時にはライトミドル級で全日本選手権と国体を制覇。大学4年ではボクシング部主将も務めました。卒業後は自衛隊体育学校に進み、ミドル級で全日本選手権と国体を優勝。特に2003年の全日本決勝では、当時高校3年生だった後のロンドンオリンピック金メダリスト・村田諒太氏に1ラウンドRSC勝ちを収めています。

これらの活躍により、アマチュアで全日本選手権5連覇を含む計13冠を獲得。シドニーオリンピック、アテネオリンピックのアジア予選にも日本代表として出場しましたが、惜しくも本戦出場は叶わず、プロへの転向を決意しました。

アマチュア戦績は、国内国際大会を除く136戦133勝（101KO・RSC）3敗という圧倒的な記録を残しています。

プロでの挑戦と栄光

2004年に帝拳ボクシングジムへ入門し、プロキャリアを開始。翌2005年4月、ボクシングの聖地ラスベガスでプロデビュー戦を迎え、初回KO勝利を飾ります。その後もラスベガスで何度かトレーニングを積み、名伯楽マイク・マッカラム氏の指導を受ける機会もありました。

国内では、B:Tight!ミドル級トーナメントで優勝。そして2007年3月、OPBF東洋太平洋ミドル級王座決定戦で勝利し、プロ初タイトルを獲得します。この王座を4度防衛した後、2009年4月には無敗のままWBA世界ミドル級王者フェリックス・シュトルムに挑みますが、世界王者の前に7回TKO負けを喫し、プロ初黒星となりました。

世界挑戦失敗後も現役続行を表明し、同年12月にはOPBF東洋太平洋ミドル級王座を再獲得。この王座も3度防衛しましたが、2011年12月に行われた日本・OPBF王座統一戦で敗れ、王座を失いました。

プロボクシング戦績は22戦20勝（18KO）2敗（2KO）。高いKO率を誇りました。プロでの獲得タイトルは第3回B:Tight!ミドル級優勝、第40代・第42代OPBF東洋太平洋ミドル級王座です。2008年度にはプロ部門の新鋭賞を受賞しています。

引退、そして新たな道へ

2012年6月、プロボクサーとしての現役引退を発表。リングを降りた後は、不動産業や豪華客船の乗務員など様々な職業を経験。その後は、有名人のボディガードを務める警備会社に就職しています。

引退から7年が経過した2019年、プロからのアマチュア転向が解禁されたことを受け、38歳でアマチュア復帰を決断。2020年東京オリンピック出場を目指しましたが、全日本選手権の準々決勝で敗れ、夢は叶いませんでした。

2023年4月には、東京都千代田区議会議員選挙に出馬するなど、ボクシング以外の分野でも積極的に活動しています。

佐藤幸治氏は、アマチュアで数々の偉業を成し遂げ、プロでも東洋太平洋王座を二度獲得するなど、国内外で活躍した希有なキャリアを持つボクサーです。リングを離れても、その行動力と挑戦心は多くの分野で発揮されています。

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