佐藤正 (陸軍草創期)

佐藤正

佐藤正（さとう ただし）は、嘉永2年（1849年）に生まれ、大正9年（1920年）に没した明治時代の陸軍軍人、政治家です。最終階級は陸軍少将。広島藩士の家に生まれ、戊辰戦争、西南戦争、日清戦争と激動の時代を駆け抜けました。

生い立ちと教育

佐藤正は、広島藩士で勘定奉行を務めた佐藤真五郎の四男として、現在の広島市白島に誕生しました。幼少期から学問に励み、8歳で広島藩学問所（現在の修道中学校・高等学校）に入学。山田十竹、木原桑宅、梅園介庵といった学者に師事し、学問の基礎を築きました。慶応2年（1866年）には、18歳という若さで学問所の句読師（文章の校正・指導を行う役職）に就任し、その才能を発揮しました。

軍人としての経歴

明治維新後、佐藤は軍人としての道を歩み始めます。明治5年（1872年）に陸軍少尉に任官し、東京鎮台第9番大隊小隊長に就任。その後、大阪鎮台を経て歩兵第8連隊に配属されました。明治9年（1876年）には歩兵第12連隊中隊長として西南戦争に出征し、戦功を上げました。

その後も順調に昇進を重ね、陸軍戸山学校での勤務や参謀本部管西局員を経て、明治14年（1881年）に陸軍少佐に昇進。近衛歩兵第1連隊大隊長に就任しました。その後も大阪鎮台参謀、仙台鎮台参謀などを歴任し、明治19年（1886年）には陸軍中佐に進級しました。

明治24年（1891年）には歩兵第18連隊長に就任。明治25年（1892年）には陸軍大佐に進級し、日清戦争に従軍しました。平壌攻略戦では銃弾を受け重傷を負い、左足を切断する重傷を負いました。

この怪我が原因で、明治28年（1895年）に退役。退役と同時に陸軍少将に進級しました。

広島市長、宮中顧問官として

退役後、佐藤は明治29年（1896年）に広島市長に就任。その後、宮中顧問官、東亜同文会幹事長、愛国婦人会事務総長などを歴任し、社会貢献に尽力しました。大正4年（1915年）には、かつて学んだ修道中学校の総理に就任し、後進の育成に力を注ぎました。

栄典

佐藤は、その功績により数々の栄典を授与されています。

1892年（明治25年）7月20日 - 従五位
1900年（明治33年）4月20日 - 従四位
1905年（明治38年）5月1日 - 正四位
1884年（明治17年）11月13日 - 勲四等旭日小綬章
1893年（明治26年）11月29日 - 勲三等瑞宝章
1895年（明治28年）10月18日 - 旭日中綬章・功四級金鵄勲章
1906年（明治39年）4月1日 - 勲二等旭日重光章
1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章

家族

佐藤の父は佐藤眞五郎。妻はナオ。養子に陸軍中将の佐藤清勝がいます。

人物

佐藤正は、激動の時代を生き抜き、軍人、政治家として多大な功績を残しました。その生涯は、明治という時代の変革と、それに対応した人々の生き様を象徴するものと言えるでしょう。

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