佐藤紀子 (モンゴル研究者)
佐藤紀子氏は、日本のモンゴル研究者として知られ、現在、特定非営利活動法人日本モンゴル文化経済協会の会長を務めています。1990年に初めてモンゴルを訪れて以来、30年以上にわたり200回を超える渡航を重ね、両国の文化、経済、そして人々の交流の架け橋となる活動を精力的に展開しています。
1943年、満州錦州省錦州市に生まれ、戦後の引き揚げを経て、山口県や高知県で幼少期を過ごしました。父は漢方医で、戦後の一時期、高知県で調剤薬局を開業しています。その後、父が山口県の病院薬局長に迎えられ、再び山口県に戻りました。桜美林短期大学や山口県歯科衛生士学院で学び、卒業後、大阪で結婚生活を送ります。一男一女の母でもあります。
1970年代からは約30年間にわたり、生活協同組合の役員として活動し、食の安全や環境問題といった社会的な課題に取り組んでいました。この経験が後の国際的な活動へと繋がります。
モンゴルとの関わりが始まったのは1989年。日本の環境保護や生協活動に携わる中で、琵琶湖畔で開催された「バイカルフォーラム（世界淡水湖保護国際会議）」において司会を務めた際、モンゴルからの参加者であるジャーナリストのTs Baldorj氏と出会ったことが契機となりました。この出会いを機に、社会主義体制から民主化への移行期にあったモンゴルにおいて、彼とともに様々な協力を開始することになります。
1990年にはモンゴルを初訪問し、フブスグル湖畔で開催された世界淡水湖保護国際会議に参加しました。翌1991年には、日本モンゴル文化経済交流協会を設立し、会長に就任。175名の賛同者とともに、モンゴル国で初めての国際交流事業を開催しました。この交流会は以降、毎年開催される恒例行事となり、両国民間の草の根レベルでの交流を深める重要な場となっています。
協会の活動は多岐にわたり、具体的には以下のような貢献を行ってきました。
技術移転：石鹸プラントの建設と製造技術の移転を支援。
医療支援：歯科衛生士としての専門知識も活かし、デンタルクリニック・エネレルを拠点とした歯科医療活動を展開。日本とモンゴルの歯科医師と協力し、地域に根差した医療生協の設立を目指しました。
文化紹介：モンゴル民族音楽の普及に力を入れ、特にモンゴル国立馬頭琴交響楽団の全員での日本公演を13回にわたり実現させ、日本にモンゴルの豊かな音楽文化を紹介しました。
歴史の継承と慰霊：1993年にはノモンハン戦争跡地への慰霊の旅を初めて実施。それ以降、2019年までに計7回慰霊の旅を重ねました。2001年には、ノモンハン戦跡に慰霊碑を建立（京都知恩院）。日本、モンゴル、ロシアの三国から僧侶が集まり、犠牲者を悼みました。
これらの長年にわたる功績が認められ、佐藤氏は数々の顕彰を受けています。
1997年：モンゴル国ナツァギーン・バガバンディ大統領よりナイラムダル（友好）勲章を受章。
1998年：「在大阪モンゴル国名誉領事」に任命され、在大阪モンゴル国名誉領事館を開設。
2008年：モンゴル国政府から「北極星勲章（Altan Gadas odon）」を受章。
2012年：在大阪モンゴル国総領事館開設に伴い名誉領事を退任しましたが、モンゴル国からの要請を受け「モンゴル国名誉文化大使」に就任。
2014年：日本国外務大臣表彰を受章（当時の外務大臣は岸田文雄氏）。
2016年：「モンゴル国文化大使」に改めて就任。
環境問題への取り組みも継続しており、2010年春からは、モンゴル国大統領およびウランバートル市が進める植林プロジェクトに対し、国際協力機構（JICA）の専門家育成プログラムを組み込んだ「蒼いウランバートル」実行委員会の会長を務めています。このプロジェクトは北海道地域提案型プログラムとして、北海道庁内に事務局が置かれ、2021年現在も継続・進行中です。また、2015年からはモンゴル国立庭園公園の造成プロジェクトの一環として、3ヘクタールにも及ぶ植樹協力も開始しています。
協会組織についても、2017年には、在大阪モンゴル国名誉領事館時代から協力関係にあった特定非営利活動法人日本モンゴル関西友好協会と統合し、現在の「特定非営利活動法人日本モンゴル文化経済交流協会」として活動を強化しています。
また、出版活動を通じて両国の文化や歴史の紹介にも努めてきました。
『モンゴル国初代大統領・オチルバト回想録』（明石書店、1998年）の企画出版。
『家族のフォークロア～消費文化に抗して～』（岩波書店、1991年）の共著。
* ノロヴバンザド著『歌うために生まれてきた』やチメドツェイエー収録『モンゴル民謡聞き取り』（いずれもモンゴル語）といった貴重な資料の企画出版にも関わっています。
佐藤紀子氏は、多様な分野での献身的な活動を通じて、日本とモンゴルの友好関係の構築・深化に多大な貢献をしてきた人物です。その活動は現在も、特定非営利活動法人の会長として続いています。
1943年、満州錦州省錦州市に生まれ、戦後の引き揚げを経て、山口県や高知県で幼少期を過ごしました。父は漢方医で、戦後の一時期、高知県で調剤薬局を開業しています。その後、父が山口県の病院薬局長に迎えられ、再び山口県に戻りました。桜美林短期大学や山口県歯科衛生士学院で学び、卒業後、大阪で結婚生活を送ります。一男一女の母でもあります。
1970年代からは約30年間にわたり、生活協同組合の役員として活動し、食の安全や環境問題といった社会的な課題に取り組んでいました。この経験が後の国際的な活動へと繋がります。
モンゴルとの関わりが始まったのは1989年。日本の環境保護や生協活動に携わる中で、琵琶湖畔で開催された「バイカルフォーラム（世界淡水湖保護国際会議）」において司会を務めた際、モンゴルからの参加者であるジャーナリストのTs Baldorj氏と出会ったことが契機となりました。この出会いを機に、社会主義体制から民主化への移行期にあったモンゴルにおいて、彼とともに様々な協力を開始することになります。
1990年にはモンゴルを初訪問し、フブスグル湖畔で開催された世界淡水湖保護国際会議に参加しました。翌1991年には、日本モンゴル文化経済交流協会を設立し、会長に就任。175名の賛同者とともに、モンゴル国で初めての国際交流事業を開催しました。この交流会は以降、毎年開催される恒例行事となり、両国民間の草の根レベルでの交流を深める重要な場となっています。
協会の活動は多岐にわたり、具体的には以下のような貢献を行ってきました。
技術移転：石鹸プラントの建設と製造技術の移転を支援。
医療支援：歯科衛生士としての専門知識も活かし、デンタルクリニック・エネレルを拠点とした歯科医療活動を展開。日本とモンゴルの歯科医師と協力し、地域に根差した医療生協の設立を目指しました。
文化紹介：モンゴル民族音楽の普及に力を入れ、特にモンゴル国立馬頭琴交響楽団の全員での日本公演を13回にわたり実現させ、日本にモンゴルの豊かな音楽文化を紹介しました。
歴史の継承と慰霊：1993年にはノモンハン戦争跡地への慰霊の旅を初めて実施。それ以降、2019年までに計7回慰霊の旅を重ねました。2001年には、ノモンハン戦跡に慰霊碑を建立（京都知恩院）。日本、モンゴル、ロシアの三国から僧侶が集まり、犠牲者を悼みました。
これらの長年にわたる功績が認められ、佐藤氏は数々の顕彰を受けています。
1997年：モンゴル国ナツァギーン・バガバンディ大統領よりナイラムダル（友好）勲章を受章。
1998年：「在大阪モンゴル国名誉領事」に任命され、在大阪モンゴル国名誉領事館を開設。
2008年：モンゴル国政府から「北極星勲章（Altan Gadas odon）」を受章。
2012年：在大阪モンゴル国総領事館開設に伴い名誉領事を退任しましたが、モンゴル国からの要請を受け「モンゴル国名誉文化大使」に就任。
2014年：日本国外務大臣表彰を受章（当時の外務大臣は岸田文雄氏）。
2016年：「モンゴル国文化大使」に改めて就任。
環境問題への取り組みも継続しており、2010年春からは、モンゴル国大統領およびウランバートル市が進める植林プロジェクトに対し、国際協力機構（JICA）の専門家育成プログラムを組み込んだ「蒼いウランバートル」実行委員会の会長を務めています。このプロジェクトは北海道地域提案型プログラムとして、北海道庁内に事務局が置かれ、2021年現在も継続・進行中です。また、2015年からはモンゴル国立庭園公園の造成プロジェクトの一環として、3ヘクタールにも及ぶ植樹協力も開始しています。
協会組織についても、2017年には、在大阪モンゴル国名誉領事館時代から協力関係にあった特定非営利活動法人日本モンゴル関西友好協会と統合し、現在の「特定非営利活動法人日本モンゴル文化経済交流協会」として活動を強化しています。
また、出版活動を通じて両国の文化や歴史の紹介にも努めてきました。
『モンゴル国初代大統領・オチルバト回想録』（明石書店、1998年）の企画出版。
『家族のフォークロア～消費文化に抗して～』（岩波書店、1991年）の共著。
* ノロヴバンザド著『歌うために生まれてきた』やチメドツェイエー収録『モンゴル民謡聞き取り』（いずれもモンゴル語）といった貴重な資料の企画出版にも関わっています。
佐藤紀子氏は、多様な分野での献身的な活動を通じて、日本とモンゴルの友好関係の構築・深化に多大な貢献をしてきた人物です。その活動は現在も、特定非営利活動法人の会長として続いています。
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