佐野善作

佐野善作

佐野善作（さの ぜんさく、1873年8月29日 - 1952年5月1日）は、日本の会計学者、経済学者、教育者です。商業教育の発展に多大な貢献をし、その功績から1952年に勲一等瑞宝章を受章しました。

生い立ちと学歴

1873年、現在の静岡県富士市中島に生まれました。1895年に高等商業学校（現在の一橋大学）を卒業。同期には、後に第一銀行頭取となる石井健吾や、日米富士自転車創業者の岡崎久次郎らがいました。卒業後、コロンビア大学とロンドン大学に留学し、研究を深めました。

教育者としてのキャリア

帰国後、母校である高等商業学校の助手となり、1896年に助教授、1900年に教授に昇進しました。1903年からは附属商業教員養成所主事も兼任。1911年には法学博士号を取得しています。1914年には東京高等商業学校の校長に就任し、1920年に同校が大学へ昇格すると、東京商科大学（現在の一橋大学）の初代学長を務めました。1921年には同校の名誉教授となりました。

1935年、杉村広蔵助教授の博士論文審査における「白票事件」をめぐる学内混乱の責任を取り、学長を辞任しました。その後も、商工審議会、産業統制委員会、中央統計委員会、文教審議会などの委員を歴任し、社会に貢献しました。

教育者としての功績

佐野善作は、東京高等商業学校初の生え抜き校長として、同校の発展と大学昇格に尽力しました。校長在任中には、如水会の設立などが行われました。1917年の臨時教育会議で帝国大学以外の大学設立が認められるようになると、1920年に東京高等商業学校は「東京商科大学」へと昇格。佐野は初代学長として、その発展を牽引しました。

また、同僚の下野直太郎、星野太郎、關一、村瀬春雄、坂本陶一、石川文吾、瀧本美夫、横井時冬らとともに明治大学商学部の設立にも尽力し、1904年の商学部設立時には講師として教鞭を執りました。

関東大震災で東京商科大学の校舎が倒壊した際には、大学の移転を決断。堤康次郎とともに、東京府北多摩郡谷保村（現在の東京都国立市）を学園都市として開発し、1929年に大学を移転しました。この際、ドイツのゲッティンゲンをモデルにした都市計画が採用されました。1939年には、国立市にあった佐野の私邸が大学に寄付され、「佐野書院」として現在も大学施設として活用されています。

佐野の弟子には、高垣寅次郎、高瀬荘太郎、田中金司、山口茂などがいます。

その他の活動

佐野善作は、書家としても才能を発揮し、「岳南」と号しました。「岳南」とは、出身地である富士市を含む富士山南西麓地域を指す地名です。

佐野善作は、教育者としてだけでなく、社会の発展にも貢献した人物であり、その功績は今もなお語り継がれています。

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