岡崎久次郎

岡崎 久次郎（おかざき きゅうじろう）

岡崎久次郎（1874年1月14日 - 1942年3月20日）は、日本の実業家および政治家であり、自転車の輸入商として成功を収め、相模鉄道の初代社長、さらに衆議院議員を通算6期務めました。彼の生涯は多岐にわたり、商業活動や政界への影響力、また晩年の慈善活動などが注目されています。

経歴

岡崎久次郎は神奈川県横浜市相生町において、米屋を営む岡崎安之助の長男として生まれました。彼は10歳で家を出て上京し、漢学塾で学びながら1889年に高等商業学校（現・一橋大学）に入学しました。同級生には後の経済学者佐野善作や、第一銀行頭取となる石井健吾がいました。

1895年の卒業後、三井物産に入社し、その後アメリカに渡米。現地での視察を経て帰国し、京橋で日米商店（のちの日米富士自転車）を開設しました。1898年からは頻繁に海外視察を行い、特約契約を結ぶなど事業を拡大し、大阪にも支店を設けました。銀座に自社ビルを建設するほどの成功を収め、相模鉄道の社長にも就任しました。

さらに、日本製糖や帝国火災保険の監査役を務めるなど、多岐にわたる経営活動を展開しました。政治の道にも進み、1912年には岐阜県から衆議院議員に当選後、第一次世界大戦の影響で自転車輸入が停止すると、自ら「大日本自転車」を設立し、自転車の製造を開始します。

1915年には立憲同志会から再度当選し、その後も政治活動を続けますが、1928年に神奈川3区で当選後、再び政界に復帰しました。1940年、衆議院本会議では反軍演説を行った斎藤隆夫に賛同し、民政党を離党するなど、強い意志を持つ議員でした。

家族・親族

岡崎の家族は彼の経歴においても重要な要素です。父は茅ケ崎で米屋を営む岡崎安之助であり、弟は外務大臣の岡崎勝男です。妻のふさ（房子）は横浜の貿易商の長女であり、フェリス女学院を卒業しています。彼の子供たちも多彩で、長男の俊郎は社会事業家として知られ、「光之村」を設立し、貧困救済活動に注力しました。しかし、これに対する支援が失われると、組織は活動を縮小せざるを得なくなりました。

他の子どもたち、特に次男の博や三男の進は賭け事に手を出し、父の残した財産を失いました。長女の桂子は悲劇的な人生を送り、夫が自殺した後、愛人とも不幸な結果を迎えました。

晩年と慈善活動

晩年の岡崎は、医療や福祉の分野に転職し、光之村という慈善団体を設立します。これは長男俊郎の理念に基づいており、無所有奉仕を目指しました。彼の死後も、家族はこの理念を引き継ぎ、活動を続けました。

岡崎久次郎は1942年に亡くなり、その墓は青山霊園にあります。彼の生涯は日本の政治や経済の発展に貢献し、慈善活動を通じて社会に影響を与える存在でした。

もう一度検索