佐野昭

佐野昭（1866年 - 1955年）は、日本の明治時代から昭和時代にかけて活動した彫刻家です。彼は江戸で生まれ、その才能を開花させました。工部美術学校ではイタリア人彫刻家ラグーザに師事し、彫刻の基礎を築きました。

佐野は、明治美術会展などの展覧会で自身の作品を発表し、その名を広めました。また、洋画家の黒田清輝や久米桂一郎といった新進気鋭の芸術家たちと交流を深め、1896年には白馬会の創立にも参加し、同会展で多くの作品を発表しました。

佐野の活動は彫刻作品の制作にとどまらず、装飾彫刻の分野でもその才能を発揮しました。皇居御造営事務局に雇われた後、内匠寮にも籍を置き、皇居や赤坂離宮の装飾彫刻を手がけました。1899年にはパリ万国博覧会の臨時博覧会監査員に任命され、翌年には彫刻取調と暖炉前飾り購入のためにヨーロッパへ出張し、黒田や久米らとともに西欧各国を訪れました。

帰国後、佐野は新帝国議事堂（現在の国会議事堂）建設の際には模型担当としてその才能を発揮しました。彼の代表作には、「三条橋雨景」や「虎狩」、そして浜離宮恩賜庭園内にある「可美真手命像」などがあります。

佐野昭は、日本の近代彫刻界において重要な役割を果たした人物の一人であり、その作品は現在も多くの人々に鑑賞されています。彼の芸術活動は、日本の美術史において、特筆すべき功績として記録されています。

参考文献

内匠寮の人と作品刊行委員会, 鈴木博之, 浅羽英男, 今井正敏, 岡本賢, 鏡壮太郎, 牟田行秀, 山口義敬『皇室建築 : 内匠寮の人と作品』建築画報社、2005年。ISBN 490177221X。

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