体当たり攻撃

体当たり攻撃

体当たり攻撃は、陸、海、空の戦場で行われる戦術であり、文字通り、対象に直接ぶつかって攻撃を行うものです。英語では「Ramming」と呼ばれ、これは要塞を破壊するために使われた破城槌に由来します。現代においても、警察や軍隊が扉を突破する際に破城槌が使用されています。

各戦場における体当たり攻撃

海上戦

海上戦における体当たり攻撃は、古くは古代ローマのガレー船の衝角攻撃に遡ります。南北戦争における装甲艦バージニアによる北軍フリゲート艦の撃沈や、リッサ海戦でのオーストリア艦によるイタリア艦の撃沈など、歴史的な事例が数多く存在します。

第一次世界大戦では、ドレッドノートがドイツ潜水艦を体当たりで沈めました。第二次世界大戦中には、イギリス海軍がUボートに対して体当たり攻撃を頻繁に行いましたが、自艦も大きな損害を受けることがありました。

近年では、タラ戦争におけるアイスランド警備隊とイギリス漁船の衝突、尖閣諸島中国漁船衝突事件、ベネズエラ海軍哨戒艦によるポルトガルクルーズ船への体当たり事件などが発生しています。

航空戦

航空戦における体当たりは、最後の手段として用いられる戦術です。弾薬が尽きた場合や、自機が深刻な損傷を受けた場合に、敵機の尾翼や翼に体当たりを行い、操縦不能に陥らせることを目的とします。

第二次世界大戦中には、ソ連軍がドイツ軍機に対して体当たり攻撃を敢行した例が多くあります。体当たり攻撃は、神風特攻隊のような自殺攻撃とは異なり、生存の可能性も存在しましたが、多くの場合、機体の損傷やパイロットの脱出により機体を失いました。

ジェット機の時代になると、空中戦の速度が向上し、体当たり攻撃は非現実的な戦術となりました。

地上戦

地上戦においては、古代アッシリアの戦車部隊が敵歩兵部隊の陣形を崩すために体当たり攻撃を行いました。第二次世界大戦中には、ソ連軍が戦車を用いて敵陣地の歩兵や砲兵部隊を轢き潰す戦術を多用しました。

T-34戦車は、ティーガーIやパンター戦車に対して、あえて体当たり攻撃を仕掛け、敵戦車の履帯を破壊して行動不能に陥らせるという戦術がとられました。しかし、この戦術は、敵戦車に到達する前に撃破される危険性も伴いました。

特攻

体当たり攻撃の中には、第二次世界大戦末期に日本軍が行った神風特別攻撃隊（特攻）のように、攻撃者が自らの命を犠牲にする戦法も存在します。特攻は、敵艦に航空機や高速ボートで体当たりし、大きな損害を与えることを目的としていました。

特攻は、その悲壮さから多くの作品で取り上げられ、自己犠牲的な体当たり攻撃の象徴として描かれています。

その他

体当たり攻撃は、フィクション作品においても、強い印象を与える演出として用いられます。映画『インデペンデンス・デイ』シリーズやアニメ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズなど、様々な作品で体当たり攻撃のシーンが見られます。

体当たり攻撃は、その危険性と有効性から、今もなお議論の対象となる戦術です。

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