依田明

依田明

依田明（1932年1月23日 - 2015年11月）は、日本の著名な心理学者であり、横浜国立大学の名誉教授を務めました。彼は2011年に瑞宝中綬章を受章しています。

略歴

東京で生まれた依田明は、父に依田新を持ちます。1954年に東京大学文学部心理学科を卒業後、1959年に同大学院の博士課程を単位取得満期退学しました。その後、東京大学の助手として研究活動に従事し、1962年に横浜国立大学の講師に就任しました。1964年には助教授、1975年には教授へと昇進し、心理学の研究と教育に尽力しました。1997年に横浜国立大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後も昭和女子大学文学部心理学科の教授として教鞭を執り、2002年に退職しました。

依田明は、「ひとりっ子」の日中比較研究において先駆的な業績を残し、独自の「きょうだい順心理学」を提唱しました。この分野における彼の研究は、家族構成が個人の性格形成に与える影響について、新たな視点を提供しました。

著書

依田明は、心理学に関する多数の著書を執筆し、一般読者にもわかりやすく心理学の知識を広めました。主な著書には以下のようなものがあります。

『ひとりっ子・すえっ子』（大日本図書, 1967年）
『子どもの性格は親がつくる』（あすなろ書房, 1973年）
『ひとりっ子 自立心をどう育てるか』（光文社カッパ・ホームス, 1973年）
『人に好かれる心理学』（あすなろ書房, 1975年）
『家族関係の心理』（有斐閣新書, 1978年）
『母子関係の心理学』（大日本図書, 1982年）
『きょうだいの研究』（大日本図書, 1990年）
『ひとりっ子の心理としつけ』（あすなろ書房, 1991年）

これらの著書は、子育てや人間関係に悩む多くの人々にとって、貴重な指針となっています。

研究内容

依田明の研究は、特に以下の点に注目することができます。

きょうだい順心理学: 家族における出生順位が、個人の性格や行動に与える影響について研究しました。長子、末子、中間子、そしてひとりっ子という異なる立場が、それぞれ特有の心理的特徴を持つことを明らかにしました。
ひとりっ子研究: ひとりっ子の心理的特徴や、その育成における課題について、日中比較研究を行いました。これにより、文化的な背景がひとりっ子の性格形成に与える影響について、深い洞察を得ることができました。
家族関係: 家族内の人間関係が、個人の心理的発達に与える影響について研究しました。特に、母子関係や父子関係が、子どもの性格形成に重要な役割を果たすことを指摘しました。

依田明の研究は、現代社会における家族のあり方や、子育ての課題について考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

参考文献

『現代日本人名録2002』
* 『日本心理学者事典』クレス出版、2003年。ISBN 4-87733-171-9。

依田明は、その生涯を通じて、心理学の研究と教育に情熱を注ぎ、多くの人々に影響を与えました。彼の業績は、今後も心理学の分野において、重要な遺産として受け継がれていくでしょう。

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