保福寺 (松本市)

保福寺（ほうふくじ）

長野県松本市保福寺町にある保福寺は、永安山を山号とする曹洞宗の寺院です。創建は鎌倉時代にまで遡り、蘭渓道隆によって開かれ、大覚禅師によって中興されました。元々は真言宗の寺院でしたが、1502年に曹洞宗に改宗されました。

歴史

保福寺は、創建当初は山中に建立されたと伝えられています。平安時代には、天台宗や真言宗の寺院が山中に建てられるのが一般的であり、保福寺もその一つでした。その後、多くの寺院が山腹や山麓に移築されましたが、保福寺もその伝承を受け継いでいます。中信地方には、保福寺以外にも山中から移築されたという伝承を持つ寺院がいくつか存在します。

文化財

保福寺には、松本市指定重要文化財である「木造千手観音立像」が安置されています。この仏像は、鎌倉時代に制作されたもので、四十二臂の千手観音像です。桧材を使用した寄木造りで、内刳が施されています。

境内

境内の建築物としては、1759年に建てられた仁王門が最も古いものです。1883年の火災で本堂、庫裡、鐘楼などが焼失したため、現在の建物はそれ以降に再建されたものです。山門をくぐり、急な石段を登ると本堂があり、その参道脇には六体の地蔵立像が並んでいます。

『信濃奇勝録』

1834年に完成した『信濃奇勝録』には、「埴原村金峯山保福寺庭に古松あり寛政二年冷泉為泰卿銘して重玉といふ」という記述があります。

保福寺道

保福寺の前を通る保福寺道（東山道）は、近世まで重要な街道でした。保福寺宿は中世には宿場町として機能し、松本方面から保福寺峠を越え、上田で北国街道に合流し、追分宿で中山道に合流し、江戸へと続く幹線道でした。松本藩主が参勤交代の際に利用したため、保福寺口にあった番所は藩内一の規模を誇っていました。

アクセス

公共交通機関を利用する場合は、松本市営バス四賀循環線「保福寺下町」バス停、またはデマンドバス「保福寺天王」バス停で下車してください。

周辺情報

保福寺周辺には、松本市四賀化石館（徒歩10分）、赤怒田福寿草公園（自動車で約5分）、保福寺峠・日本アルプス命名の地の碑などがあります。

まとめ

保福寺は、歴史、文化、自然が調和した魅力的な場所です。古くからの歴史を持つ寺院であり、貴重な文化財や美しい自然景観を楽しむことができます。松本市を訪れた際には、ぜひ保福寺に足を運んでみてください。

関連項目

松本市の名所・旧跡
松本市の歴史

外部リンク

木造千手観音立像（保福寺）‐松本のたから

参考文献

『探訪 信州の古寺 禅宗』1996年 郷土出版社

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