信多純一

信多 純一の概要

信多純一（しのだ じゅんいち、1931年9月20日 - 2018年10月31日）は、日本の国文学者であり、日本近世文学を専門とし、特に浄瑠璃や狂言などの研究で知られています。彼は大阪大学および神戸女子大学で名誉教授の職を歴任しました。号は「志水」でも知られています。

生い立ちと教育背景

信多純一は大阪府で生まれ、兵庫県立尼崎高等学校を経て、1954年に京都大学文学部を卒業しました。その後、1957年に同大学の大学院文学研究科で修士課程を修了し、1960年には博士課程の単位を取得しましたが、最終的には退学しました。彼の学問的な出発点は、京都大学での学びにあります。

教職歴

1962年からは松蔭短期大学に助教授として着任し、1964年には奈良女子大学の助教授へと転任しました。更に、1968年には大阪大学文学部の助教授、1981年には教授に昇進しました。信多氏は1995年に定年退官後、神戸女子大学で教授として教鞭をとるなど、長い間教育界に貢献しました。

研究業績

信多純一の研究は主に中世から近世にかけての浄瑠璃に焦点を当てており、特に絵巻から本文を読み解くアプローチで知られています。彼は美術史家の辻惟雄と深い親交を結んでおり、彼との共同研究も数多く行っていました。

主な受賞歴

彼の業績は数々の賞によって評価されました。1975年には著作『のろまそろま狂言集成』により第29回毎日出版文化賞特別賞を受賞し、1992年には『近松の世界』で角川源義賞を獲得しました。また、1999年には紫綬褒章、2006年には瑞宝中綬章を授与されるなど、日本の文学界における貴重な人物としてその名を記しました。

著書一覧

信多氏は多くの著作を残しています。以下に主な著書をリストします。

• - 単著

- 『近松の世界』 （平凡社）1991年
- 『にせ物語絵―絵と文・文と絵』 （平凡社）1995年
- 『馬琴の大夢里見八犬伝の世界』 （岩波書店）2004年
- 『浄瑠璃御前物語の研究』 （岩波書店）2008年
- 『祈りの文化 大津絵模様・絵馬模様』 （思文閣出版）2009年
- 『好色一代男の研究』 （岩波書店）2010年

• - 校注・編著

- 『のろまそろま狂言集成』 （斎藤清二郎共編著 大学堂書店 1974年）
- 『絵巻上瑠璃』 （辻惟雄、坂田泉共編 京都書院 1977年）
- 『じやうるり』 （横山重共編 大学堂書店 1982年）
- 『近松門左衛門集』 （新潮日本古典集成、校注 1986年）

信多純一は日本文学の研究に多大な貢献をしており、特に近世文学の発展に重要な役割を果たしました。彼の学術的業績は今もなお、研究者たちによって引き継がれています。

もう一度検索