信敷荘

信敷荘（しのぶのしょう/しのうのしょう）

信敷荘は、備後国三上郡（現在の広島県庄原市）に存在した荘園です。

概要

荘園の成立時期は明確ではありませんが、1186年（文治2年）に平家没官領として源頼朝が妹である坊門姫に与え、彼女が地頭として治めることになった記録が残っています。その後、信敷荘は東方と西方に分割されることになります。

西方は、1303年（嘉元元年）に京都の四条烏丸にあった篝屋（かがりや）の料所として充てられ、長井氏が地頭として管理しました。一方、東方は1338年（南朝：延元3年、北朝：暦応元年）に足利尊氏から恩賞として首藤山内氏に与えられました。これにより、長井氏と首藤山内氏が荘園の支配を巡って対立し、さらに安芸国から勢力を拡大してきた宍戸氏も加わり、三者の間で激しい勢力争いが繰り広げられることになります。

応仁の乱の時代になると、信敷荘を勢力圏に置いた山名氏が山内豊成に対して荘園全域の支配を安堵しました。この結果、首藤山内氏による支配が確立し、以後、山内氏は毛利氏の傘下に入り、関ヶ原の戦いを経るまで信敷荘を支配し続けました。

信敷荘は、鎌倉時代から戦国時代にかけて、様々な勢力の思惑が交錯する場所であり、地域の歴史を語る上で重要な荘園であったと言えるでしょう。

参考文献

武田祐三「信敷荘」（『国史大辞典 15』吉川弘文館、1996年） ISBN 978-4-642-00515-9
角山研司「信敷荘」『広島県大百科事典』（中国新聞社、1982年）

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