信松院

信松院（しんしょういん）は、東京都八王子市台町に位置する曹洞宗の寺院です。金龍山と号し、武田信玄の四女である信松尼（松姫）によって開かれました。開山は卜山舜越で、八王子七福神の一つである布袋像が祀られています。

歴史

信松院の創建は1590年（天正18年）に遡ります。信松尼（松姫）が、心源院から八王子御所水（現在の八王子市台町）にあった草庵に移り住んだことが始まりとされています。

松姫は、1567年（永禄10年）にわずか7歳で織田信長の嫡男である信忠と婚約しましたが、1573年（元亀3年）に武田家と織田家が敵対関係になったため、婚約は破棄されました。武田信玄の死後、1582年（天正10年）に織田勢が甲州へ侵攻すると、松姫は逃避行の末、武蔵国多摩郡恩方に辿り着きました。武田家は天目山の戦いで滅亡し、その後、本能寺の変で信忠も命を落とすという悲劇が続きました。これらの出来事を受け、松姫は心源院で出家することになりました。

1945年（昭和20年）の八王子空襲では、信松院は焼失を免れましたが、松姫が植えたとされる松が枯れてしまいました。また、松姫の名を冠した「まつひめ幼稚園」を経営していましたが、1986年3月に閉園しています。

文化財

信松院には、歴史的価値の高い文化財が数多く所蔵されています。

軍船ひな形・寄進目録：安土桃山時代に制作された木造の模型で、東京都指定文化財です。1/25の大きさで、安宅船と関船の精巧な雛形が作られています。
松姫坐像：木造の松姫の坐像で、八王子市指定文化財となっています。
信松尼墓：信松尼の墓所であり、八王子市指定史跡です。

所在地

信松院は、東京都八王子市台町3丁目18番28号に位置しています。

交通アクセス

JR東日本中央線西八王子駅から徒歩約12分でアクセス可能です。

ギャラリー

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参考文献

「八王子十五宿上野原宿 信松院」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ101上多磨郡ノ13、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763990/67。

外部リンク

* “松姫尼公墓”. 八王子市ホームページ (2016年6月29日). 2021年2月18日閲覧。

信松院は、武田家の悲運の姫である松姫の生涯を偲ぶことができる、歴史と文化に彩られた寺院です。訪れる人々にとって、静かで心落ち着く場所となるでしょう。

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