信楽高原鐵道SKR310形気動車

信楽高原鐵道SKR310形気動車：老朽化対策と安全性向上を両立した車両

信楽高原鐵道のSKR310形気動車は、2001年から2002年にかけて導入された一般形気動車です。同鉄道の既存車両であるSKR200形が老朽化してきたことを受け、その代替として登場しました。SKR311が2001年11月、SKR312が2002年9月にそれぞれ運行を開始し、これに伴いSKR201とSKR203は廃車となりました。

本形式は、富士重工業が製造したレールバスの一種であるLE-Carをベースとしたボギー車版、LE-DCを元に開発されました。外観は、先行して導入されていたSKR300形とほぼ同様です。しかし、SKR300形からの改良点として、エンジン出力の強化と保安ブレーキシステムの二重化が挙げられます。具体的には、日産ディーゼル製PF6HT03型エンジンを搭載し、出力は295馬力に引き上げられています。また、ブレーキシステムの二重化により、安全性の向上が図られました。

SKR310形は、信楽高原鐵道列車衝突事故を踏まえ、安全性を重視した設計となっています。そのため、バンパーの設置、車内のバリアフリー化、車椅子スペースの確保などが行われています。これらの安全対策は、SKR300形にも共通して見られます。登場時は、緑色の帯に狸のキャラクターと会社のロゴが描かれたデザインでしたが、2017年には新たな姿へと生まれ変わりました。

2017年、SKR311とSKR312の2両は、JR西日本草津線の113系1編成と同様に、ラッピング列車『SHINOBI-TRAIN』として改装されました。SKR311は緑、SKR312は紫を基調としたデザインとなり、忍者をテーマとした装飾が施されています。このラッピング車両は、2017年2月25日から運行を開始し、主に平日の日中を中心に活躍しています。

ただし、制御システムの違いから、後に導入されたSKR400形やSKR500形とは併結運転を行うことができません。これは、異なる世代の車両同士の技術的な互換性の問題によるものです。

SKR310形気動車は、老朽化対策、安全性の向上、そして地域活性化への貢献という複数の目的を達成した車両と言えるでしょう。そのデザイン性と安全性、そして地域に根付いた運行は、信楽高原鐵道の発展に大きく貢献しています。今後とも、信楽高原鐵道の顔として、地域を繋ぐ役割を担っていくことでしょう。

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