信濃川断層帯

信濃川断層帯（長野盆地西縁断層帯）

信濃川断層帯は、新潟県と長野県の県境に位置する、全長約74kmの活断層帯です。この断層帯は、飯山市付近から信濃川に沿って伸びており、西側が東側に対して隆起する逆断層となっています。長野盆地の西側の境界に位置することから、長野盆地西縁断層帯または断層群とも呼ばれています。

地理的・地質学的背景

信濃川断層帯は、新潟-神戸歪集中帯という、地質的な歪みが集中しやすい地域に位置しています。頸城山塊の南東縁、長野盆地と飯山盆地の北西縁から西縁にかけて存在し、おおむね北北東から南南西方向に伸びています。断層帯は、大きく分けて、長野県下高井郡野沢温泉村から千曲市にかけての飯山－千曲区間（約59km）と、千曲市から筑北村にかけての麻績区間（約15km）に区分されます。地震調査研究推進本部では、この断層帯を「長野盆地西縁断層帯（信濃川断層帯）」と呼称しています。

構成断層

信濃川断層帯は、複数の断層で構成されています。主な断層としては、重地原断層、北竜湖断層、長峰断層、飯山断層、長丘断層、浅野断層、三才断層、城山断層、善光寺断層、安茂里断層、小松原断層などが挙げられます。

主な調査研究

大森房吉の研究: 帝国大学理科大学地震学教授の大森房吉は、山形県沖から新潟県を経て長野県に至る線上に地震活動が集中していることを発見し、この地域を信濃川流域地震地帯と名付けました。
東京大学地震研究所の重力測定: 1986年、東京大学地震研究所は、84点の重力測定を実施し、善光寺地震の原因断層の西側に隣接して、顕著な低ブーゲー異常帯が存在することを確認しました。これは、断層破砕帯のような地下構造の存在を示唆しています。
佐藤比呂志の研究: 佐藤比呂志(1996)は、信濃川断層帯の活動に関して、「糸魚川静岡構造線の最北区間（糸魚川-小谷区間）の活動停止によって解消できなくなった短縮変形を解消する活動をしている」と指摘しました。

断層の評価

断層長: 74km
傾斜角: 北西傾斜。飯山－千曲区間では20-40度。深部では南西に傾斜するという研究もあります。麻績区間は不明。
分類: A級活断層
長期確率: 不明
規模: 飯山－千曲区間（59km）でM7.4-7.8程度、麻績区間（15km）でM6.8程度と推定されています。両区間が同時に活動した場合、M7.9程度と想定されています。
平均活動間隔: 800年から2500年と推定されています。直近の善光寺地震から間もないため、次の地震発生予測地域は、善光寺地震の活動域と新潟県中越地震の中間あたりと考えられています。断層に関する調査研究は不十分であり、今後の研究が必要です。

活動歴

ボーリング調査やトレンチ調査の結果から、1100 - 1300年周期で活動が繰り返されていると考えられています。

過去の活動:
690年 - 1160年の間に1回。
1847年 善光寺地震 (M7.4)：飯山－千曲区間が活動し、断層の西側が東側に対して2 - 3m程度隆起したと推定されています。この地震による地表断層は長野市内の一部でも確認されています。
付近で発生した近年の地震：
1965年～ 松代群発地震：ただし、信濃川断層帯の活動ではありません。
2011年 長野県北部地震（2011年3月、M6.7）：指摘されていた善光寺地震の活動域と新潟県中越地震の中間あたりを震源とします。その他、新潟県中越地震、三条地震、新潟県中越沖地震、新潟地震などの地震が発生しています。

今後の課題

信濃川断層帯は、過去に大規模な地震を引き起こしており、今後も地震が発生する可能性が指摘されています。しかし、断層の詳しい活動状況や長期的な評価については、まだ不明な点が多く残されています。今後の地震に備えるためにも、より詳細な調査研究を進めることが重要です。

参考文献

文部科学省地震調査研究推進本部
信濃川断層帯（長野盆地西縁断層帯）
信濃川断層帯（長野盆地西縁断層帯）の評価 平成13年11月14日
関東地域の活断層の地域評価 / 長野盆地西縁断層帯（信濃川断層帯）の長期評価（一部改訂） 平成27年４月24日 (PDF)

関連項目

善光寺地震
新潟県中越地震
長野県北部地震
善光寺平

外部リンク

長野盆地西縁断層 変位地形と水路-都市断層を水路から観る

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