信濃鉄道2形蒸気機関車

信濃鉄道2形蒸気機関車

信濃鉄道2形蒸気機関車は、かつて信濃鉄道に在籍していたタンク式蒸気機関車です。4号と5号の2両が製造されました。

概要

1915年（大正4年）にアメリカのダベンポート・ロコモティブ・ワークスで製造された、運転整備重量22トンの2気筒単式の飽和式リアタンク機関車です。最大の特徴は、0-6-4(C2)という車軸配置です。これは、2軸のボギー台車を従輪に持つもので、1866年にマシアス・N・フォーニによって考案されました。この配置は、急カーブに強く、アメリカでは軽便鉄道や都市鉄道で重宝されました。

しかし、日本では動輪上重量が不足しがちであったため、あまり普及せず、採用例は3社に留まりました。鉄道省にも改造車ながら同形式の2700形がありましたが、設計思想は大きく異なっています。

本形式は、サイドタンクを持たず、水槽と炭庫は運転台後部のボギー台車上に設置されています。全軸距は5,385mm、動輪の固定軸距は1,524mm、動輪径は863mm、ボイラーの使用圧力は11.2kg/cm2です。

信濃鉄道の開業初期には主力として活躍しましたが、後に新しい機関車が導入されると、余剰となり、1937年（昭和12年）の信濃鉄道国有化時には既に在籍していませんでした。廃車後の動向は不明です。

同形機

本形式の同形機として、筑前参宮鉄道に1916年（大正5年）に2両、1920年（大正9年）に1両が導入され、1号機から3号機となりました。信濃鉄道の車両とは、煙突がストレート形（信濃鉄道の車両はダイヤモンド形）である点が異なります。こちらも1942年（昭和17年）の西日本鉄道統合時には既に廃車されており、その後の動向は不明です。

また、やや小型で動軸二軸の車軸配置0-4-4(B2)タイプの機関車が、1921年（大正10年）に富山県営鉄道へ1両（2号機）導入されました。

まとめ

信濃鉄道2形蒸気機関車は、そのユニークな車軸配置と、短期間での引退から、あまり知られていない存在です。しかし、その特異な設計と、同形機を含めた歴史は、日本の鉄道史において興味深い一例と言えるでしょう。

参考文献

臼井茂信「機関車の系譜図 2」1973年、交友社刊
沖田祐作「三訂版 機関車表」1996年、滄茫会刊

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