ダベンポート・ロコモティブ・ワークス

ダベンポート・ロコモティブ・ワークスは、20世紀初頭のアメリカ合衆国アイオワ州ダベンポートに存在した機関車メーカーです。1900年に設立され、1902年から1956年まで機関車の製造を行いました。

歴史

創業当初は小形の蒸気機関車を製造していましたが、1924年にはガソリン機関車、1927年には電気式ディーゼル機関車を製造するなど、時代のニーズに合わせて製品の多様化を図りました。1950年にはH.K.ポーターから機関車事業を譲り受け、ポーターのデザインによる機関車の製造も行っています。1955年にはカナダのベセラー社を買収し、重機械や大型構造物の製造へと事業を転換しました。

ダベンポート社の製品は、部品の規格化が進んでおり、どの製品も類似性が高いという特徴がありました。産業用ディーゼル機関車の製造を幅広く手掛け、機械式動力伝達装置や電気式を小型機関車に採用しました。これらの機関車は主に産業用として使用されましたが、当時連合規則で認められていた最大級の、一人で運転できる44トン級機関車は鉄道事業者にも人気がありました。ロック・アイランド鉄道、ミルウォーキー鉄道、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道、セントルイス・サンフランシスコ鉄道、ミズーリ・パシフィック鉄道などが主な顧客でした。

また、アメリカ陸軍向けに、第一次世界大戦時の塹壕鉄道用機関車や、第二次世界大戦時のUSATC S100クラス（車軸配置0-6-0）の機関車を供給した実績もあります。1950年代には、デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道向けに、広軌（1,676mm）と狭軌の両方に対応する機関車を製造しました。

日本との関わり

日本へは、1915年から1921年の間に十数両の機関車が輸入されました。第一次世界大戦の影響でドイツ製品が入手困難になった時期に、その代替として輸入されたものです。国有鉄道では、上越線の建設工事に軽便タイプのガソリン機関車が使用されました。信濃鉄道などに導入された二軸ボギー式の従台車を持つ「フォーニ」タイプ蒸気機関車は、新製機としてはダベンポート社製のみでした。

「フォーニ」タイプは短命に終わったものの、小湊鉄道に譲渡された車両や、江若鉄道から磐城セメント小倉工場に渡った車両などは、1960年代後半まで使用されました。

ダベンポート・ロコモティブ・ワークスは、アメリカの鉄道史において、多様な機関車を製造し、産業の発展に貢献した重要なメーカーの一つです。その機関車は、アメリカ国内だけでなく、日本を含む世界各地で使用され、その足跡を残しています。

参考資料

* 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1973年、交友社刊

外部リンク

Preserved Davenport locomotives（英語）

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