倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館

倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館：郷土の芸術と歴史を体感する旅

鳥取県倉吉市に位置する倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館は、美術と歴史、そして民俗資料を網羅した総合博物館です。1968年（昭和43年）に開館した倉吉郷土館を前身とし、1974年（昭和49年）に現在の打吹公園内に新たな施設が建設されました。美術部門と歴史部門を統合した「倉吉博物館」として開館したこの施設は、地域文化の保存と発信において重要な役割を担っています。

特に注目すべきは、昭和天皇が1985年（昭和60年）、第40回国民体育大会の行幸の際に視察されたことです。これは、当館が地域社会から高く評価されている証左と言えるでしょう。

美術部門：郷土を彩る巨匠たちの作品

美術部門では、倉吉ゆかりの著名な芸術家たちの作品を数多く展示しています。特に、洋画家前田寛治、日本画家菅楯彦、版画家長谷川富三郎の作品群は、当館の重要なコレクションです。前田寛治は、近代日本における洋画の重要な担い手として知られ、その繊細な描写力と力強い表現力で知られています。菅楯彦は、伝統的な日本画技法を駆使しながら、独自のスタイルを確立した画家です。長谷川富三郎は、木版画の技術に精通し、独自の表現世界を築きました。これらの巨匠たちの作品を通して、日本の近代美術史の一端に触れることができます。

具体的な展示品としては、菅楯彦の代表作である「舞楽青海波」や「春宵宜行」といった屏風絵、前田寛治の初期から晩年までの油彩画、そして多くの郷土芸術家の作品が挙げられます。これら以外にも、多数の貴重な美術品が収蔵されており、来館者を魅了しています。

歴史部門：古代から現代まで、倉吉の歴史を紐解く

歴史部門では、倉吉周辺で発掘された考古資料を展示しています。これらの資料は、倉吉の歴史を紐解く上で貴重な手がかりとなります。特に、重要文化財に指定されている谷畑遺跡祭祀遺物や装飾子持壷付装飾器台は、古代の人々の生活や信仰を知る上で極めて重要な資料です。また、人物埴輪や鹿埴輪などの埴輪類も、古代の葬祭文化を垣間見ることができる貴重な資料です。

さらに、中尾遺跡、長谷遺跡など、数多くの遺跡から出土した土器や石器などの遺物も展示されており、古代から中世にかけての倉吉地域の生活様式や社会構造を理解する上で役立ちます。これらの資料を通して、倉吉の歴史と文化の深さを体感することができるでしょう。

倉吉歴史民俗資料館：地域の生活文化を伝える

博物館の隣には、倉吉の民俗資料を展示する倉吉歴史民俗資料館があります。博物館本館とデッキで繋がっているため、スムーズに移動できます。こちらは、倉吉地域の伝統的な生活様式や文化を伝える資料を展示しており、博物館本館と合わせて、倉吉の文化を多角的に理解することができます。

展示内容とアクセス情報

当館では、前田寛治大賞展や菅楯彦大賞展といった公募展も開催しており、地域文化の活性化にも貢献しています。開館時間は午前9時から午後5時まで（入館は4時30分まで）、休館日は月曜日、祝日の翌日、年末年始です。山陰本線倉吉駅からバスでアクセスできます。

倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館は、地元の芸術家や歴史を深く知りたい方、あるいは鳥取県を訪れた際に立ち寄りたい方にとって、非常に魅力的な施設です。郷土の文化に触れ、豊かな時間を過ごせる場所と言えるでしょう。

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