倉吉藩

倉吉藩の歴史

倉吉藩（くらよしはん）は、江戸時代初期の期間に鳥取県倉吉市周辺に存在した藩で、わずか8年間の歴史を持ちます。藩の創設は1614年で、安房国館山藩主であった里見忠義が名目上3万石の領地を与えられましたが、実際には4100石しか与えられなかったのです。藩は元和8年（1622年）に忠義が亡くなるとともに廃藩となりました。

倉吉の前史

倉吉の地には南北朝時代に打吹城（倉吉城）が築かれ、室町時代には伯耆国の守護所とされました。1600年、家康の西軍が米子藩に中村一忠を移封し、その結果倉吉もその所有地となりました。その後、慶長14年（1609年）に中村氏が改易され、倉吉は新たな天領として管理されることとなりました。

里見忠義の藩主就任

里見忠義は、安房国の戦国大名の出身で、館山藩の藩主として広い領地を持っていました。しかし、慶長19年（1614年）、大久保忠隣の改易を受けて、里見家も改易となり、その結果、従来の所領を没収されることとなりました。この際、忠義は伯耆国倉吉に新たな所領として3万石を与えられることが決まりましたが、実際にはわずか4100石の給付となったのです。

忠義は12月に倉吉に到着し、神坂に新たな屋敷を構えましたが、打吹城には入ることなく、神坂村で生活を始めました。元和2年（1616年）には山田八幡社と北野天神を修築し、元和6年には社殿の修築を行っています。これらの活動から、藩主としての財力を示すものでありました。

藩主としての苦難

しかし、1617年には池田光政が鳥取藩主として入封し、忠義はその庇護を受けることになったため、彼の身分は徐々に低下していきました。忠義は4000石の所領を奪われ、百人扶持を与えられた後、倉吉の郊外に移され、さらに1619年には堀村に移ることとなりました。元和8年（1622年）、忠義は亡くなりますが、彼には後継者がいなかったため、里見家は改易されることとなります。

歴代藩主のその後

里見家の重臣であった正木時茂は、大坂の陣後に抑留され、さらに藩主が変わった後には池田光政に預けられる形で鳥取へ移されました。ここで時茂は1630年に亡くなります。倉吉には、里見忠義や他の関係者の墓所がある大岳院が存在し、彼らの足跡を今に伝えています。

後の影響

廃藩後、倉吉の領地は鳥取藩の管轄下に入ります。寛永9年（1632年）には、池田光政が岡山藩に移封されてから、鳥取藩主として入った池田光仲のもとで、家老である荒尾嵩就により管理されるようになり、打吹山麓に倉吉陣屋が設けられました。

このように倉吉藩の歴史は短命でしたが、地域の政治や社会に与えた影響は大きかったと言えるでしょう。

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