里見忠義

里見忠義の生涯

里見忠義（さとみ ただよし）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての日本の大名であり、安房国館山藩の第2代藩主です。彼は、安房里見氏の当主である里見義康の長男として誕生し、徳川秀忠から偏諱を受けて「忠義」と名乗りました。

前半生

忠義は文禄3年（1594年）、父・里見義康の長男として安房館山藩で生まれ、赤ん坊の頃から梅鶴丸の名で呼ばれていました。慶長8年（1603年）、父が亡くなったことにより、わずか10歳で家督を受け継ぎましたが、幼かったため、正木時尭や山本清七、板倉大炊助、堀江頼忠らが彼を支えました。慶長11年（1606年）、江戸幕府の2代将軍である徳川秀忠の前で元服を行い、忠義と名付けられ、従四位下・安房守に叙任されるとともに侍従にも任命されました。

彼の身近には、家族に関連する将軍や大名が多く、特に慶長16年（1611年）には老中大久保忠隣の孫娘を妻に迎えました。さらに、慶長17年（1612年）には鯨を捕獲し、その皮を毎回伊勢神宮へ献上するよう命じたことから、当時の捕鯨活動の実態を知ることができます。また、同年に金子・木布・新ひた銭・実綿の取引価格を公定にする文書を起草し、商業統制政策を強化しました。知恩寺には寺領を寄附したことが記録されています。

後半生

しかし、忠義の運命は慶長19年（1614年）に一転します。国替えを命じられ、大久保家に預けられてしまいました。その際、安房国を没収されたことが影響し、彼は伯耆国に3万石が与えられ、倉吉に移住することになりました。理由としては、大久保家とのつながりが連座の一因とされていますが、他にも城郭修補や牢人の召し抱えなどが挙げられていました。

倉吉に到着した後、彼は神坂に屋敷を持つことができましたが、最初に与えられた土地は限られていました。しかし、元和2年（1616年）には地元の神社の修復を行い、元和6年には社殿の改築も行っています。これらの寄進活動から、ある程度の財力を持っていたことがうかがえます。

元和3年（1617年）には、池田光政の移封により田中村に移り、扶持もわずかに減少してしまいました。その後も土地を移ることを余儀なくされ、元和8年6月19日（1622年7月27日）にわずか29歳でこの世を去りました。彼は定光寺の川原で火葬され、大岳院に葬られました。

子孫

忠義には公式な嗣子がいないとされ、安房里見氏はそこで断絶したと見られています。しかし、側室との間に3人の男子がいたとも言われ、彼らは他の家に仕官しました。さらに、忠義の叔父である里見忠重も400石の家臣として知られています。

八賢士

忠義の死を受けて、彼に仕えた側近たちが殉死を選び、大岳院に共に埋葬された事が記録されています。これらの側近たちは「八賢士」として称賛され、彼らの行動は忠義への真実の忠誠心を示すものとして語り継がれています。川名登博士は、彼らの殉死の物語が後の文学作品『南総里見八犬伝』に影響を与えたのではないかと考察しています。

まとめ

里見忠義の生涯は、若くして大名としての重責を背負いながらも、国替えや家の滅亡など波乱の歴史を辿ったものでした。彼の存在は、安房里見氏の歴史の中で重要な役割を果たし、その子孫や側近たちによってその名は今でも語り継がれています。

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