米子藩

米子藩の歴史と沿革

米子藩（よなごはん）は、鳥取県に位置する伯耆国会見郡に設立された藩であり、藩庁は米子城に置かれていました。この藩は、江戸時代初期に短期間存在していたもので、過去の戦国時代から江戸時代にかけての重要な地域として知られています。

立藩の背景

米子は戦国時代において尼子氏や毛利氏が奪い合う戦略的な拠点となり、多くの歴史の舞台となりました。豊臣秀吉の時代には伯耆国が東西に分割され、西側は毛利氏の領地となりました。この時期、毛利一族の吉川広家は月山富田城を本拠に、伯耆国を支配していました。

天正19年（1591年）、吉川広家は新たな拠点として米子に米子城を築城し始め、城の建設が進められました。ところが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いにおいて、毛利氏は西軍に属し、その結果、大幅な減封となりました。これにより広家は周防の岩国藩へと移ることになります。

次に伯耆国の領主として中村一忠が入国しました。一忠は豊臣氏の三中老の一人であった中村一氏の子として知られています。一忠の父は、関ヶ原の戦いの直前に急死しましたが、家康との会談を通じて東軍に加わることを決めていました。そしてその功績により、一忠には3万石が加増され、米子藩が成立することになったのです。

横田騒動

中村一忠が藩主となった当初、彼はわずか11歳という幼少期であり、そのため藩政は叔父である中村一栄や、家康から後見役として派遣された横田村詮が担っていました。村詮は築城工事を完成させ、米子の城下町の整備にも尽力しました。しかし、次第に村詮は一忠の側近である安井清一郎や天野宗杷らと対立することになりました。

慶長8年（1603年）、一忠は側近たちの唆しに乗り、村詮を殺害するという事件が発生しました。これに対し、村詮の家族や支持者たちは強く反発し、飯山に立てこもりましたが、一忠は隣国の堀尾吉晴の助けを得て事態を鎮圧しました。この事件の報告を受けた徳川家康は、村詮の死に激怒し、首謀者の安井と天野には即刻切腹の命令を下しました。その後、一忠は品川宿での謹慎処分となりました。

廃藩とその後

慶長14年（1609年）、一忠が20歳の若さで急死すると、中村氏は改易され、領国の継承が認められなくなりました。翌年には加藤貞泰が新たに米子藩主に据えられ、彼は大坂の陣での軍功から米子に入部したのです。しかし、貞泰は元和3年（1617年）に伊予大洲藩へ転封され、これにより米子藩は廃藩となりました。

その後の領地は、元和3年に池田光政の領地となり、光政はその後の米子城の支配を池田由之とその後を引き継ぐ池田由成に任せました。さらに、寛永9年（1632年）には池田光仲が米子城を支配し、その後も荒尾成利が米子城に着座することになりました。藩の歴史は幕末まで続くことになります。

歴代藩主

米子藩において、歴代藩主の一つに中村家があり、外様として17万5000石を有していました。また、加藤家も外様として6万石を持ち、貞泰がその藩主として知られています。これらの藩主は、米子藩の歴史において重要な役割を果たしました。

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