倉田マユミ

倉田マユミ：映画界を彩った名女優

倉田マユミは、1932年1月11日に京都府京都市で生まれました。父親は映画監督の倉田文人であり、映画という芸術が身近な環境で育ちました。1950年に文学座研究所を卒業し、そのまま文学座に入団。演劇の世界でそのキャリアをスタートさせました。

映画界への転身

1951年、倉田は映画『わかれ雲』でスクリーンデビューを果たします。その後、父親が監督を務めた『ノンちゃん雲に乗る』（1955年）にも出演し、注目を集めました。1958年に文学座を退団し、大映に入社。大映では、『検事 霧島三郎』（1964年）をはじめとする多くの作品で、その確かな演技力で脇役として存在感を示しました。

多彩な役柄への挑戦

倉田は、そのキャリアの中で、様々なジャンルの映画に出演しました。『やっさもっさ』でのコミカルな演技から、『愛染かつら』のようなメロドラマ、『人間の条件』のような社会派ドラマまで、幅広い役柄をこなしました。

市川崑監督の作品にも多く出演しており、『あなたと私の合言葉さよなら、今日は』、『鍵』、『ぼんち』、『黒い十人の女』など、その独特な世界観を彩る存在として欠かせない女優でした。また、増村保造監督の作品にも複数出演しており、『氾濫』、『からっ風野郎』、『恋にいのちを』、『爛』など、その個性的な演出に応える演技を見せています。

結婚とアメリカへの移住

1964年に大映を退社した後、倉田は俳優の大泉滉と結婚しましたが、後に離婚。その後、アメリカの外交官と再婚し、アメリカへと渡りました。女優としてのキャリアだけでなく、その私生活も波乱に満ちていたと言えるでしょう。

主な出演作品

以下に、倉田マユミの主な出演作品をまとめました。

映画

わかれ雲（1951年）
やっさもっさ（1953年）
愛染かつら（1954年）
ノンちゃん雲に乗る（1955年）
十代の反抗（1955年）
新婚日記恥しい夢（1956年）
屋根裏の女たち（1956年）
ねんねこ社員（1956年）
真昼の対決（1957年）
東京の鐘（1958年）
大阪の女（1958年）
赤線の灯は消えず（1958年）
共犯者（1958年）
悪女の季節（1958年）
男十九の渡り鳥（1958年）
あなたと私の合言葉さよなら、今日は（1959年）
情炎（1959年）
女と海賊（1959年）
夜の闘魚（1959年）
山田長政 王者の剣（1959年）
氾濫（1959年）
鍵（1959年）
川向うの白い道（1959年）
歌麿をめぐる五人の女（1959年）
貴族の階段（1959年）
人間の条件 第3・4部（1959年）
明日から大人だ（1960年）
からっ風野郎（1960年）
ぼんち（1960年）
襲われた手術室（1960年）
歌行燈（1960年）
不知火検校（1960年）
時の氏神 新夫婦読本（1960年）
犯行現場（1960年）
お伝地獄（1960年）
黒い樹海（1960年）
婚期（1961年）
恋にいのちを（1961年）
みだれ髪（1961年）
誰よりも誰よりも君を愛す（1961年）
悲しき６０才（1961年）
女のつり橋（1961年）
黒い十人の女（1961年）
女は二度生まれる（1961年）
雑婚時代（1961年）
悪名（1961年）
新源氏物語（1961年）
若い奴らの階段（1961年）
家庭の事情（1962年）
ある関係（1962年）
誘拐（1962年）
爛（1962年）
江梨子（1962年）
熱砂の月（1962年）
男と女の世の中（1962年）
瘋癲老人日記（1962年）
私は二歳（1962年）
温泉芸者（1963年）
夜の配当（1963年）
温泉女医（1964年）
芸者学校（1964年）
無茶な奴（1964年）
海底犯罪No.1（1964年）
制服の狼（1964年）
検事霧島三郎（1964年）
女めくら物語（1965年）
座頭市二段斬り（1965年）

テレビドラマ

華々しき一族（1958年、NTV）
息子の青春（1959年、NTV）
東京０時刻（1959年、KR)
東京タワーは知っている（1960年、CX)
むしけら（1960年、CX)
廃液（1960年、NHK)
育てる（1960年、CX)
鎖国（1963年、NHK)
夫婦百景（1963年、NTV)
* ドブネズミ色の街（1963年、NHK）

晩年

アメリカへ渡った後の倉田の消息は、あまり知られていません。しかし、彼女が残した数々の作品は、今もなお多くの人々に愛され続けています。倉田マユミは、その演技力と個性的な魅力で、日本の映画史にその名を刻んだ女優と言えるでしょう。

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