傍受

傍受とは

傍受とは、当事者の同意を得ずに、他人同士が行っている通信を、その内容を知るために受信する行為を指します。この行為は、有線[[通信]]と無線通信の両方に対して行われる可能性があります。

無線通信における傍受

無線通信における傍受は、意図的に自己宛てではない無線通信を受信する行為です。これは、無線通信の当事者の許可なしに行われるもので、「盗聴」とは法的に区別されます。日本では、無線通信を傍受する行為自体は、即座に違法となるわけではありません。しかし、傍受した内容を第三者に漏洩したり、自己や第三者の利益のために利用（窃用）すると罪に問われることがあります。例えば、JRの鉄道無線を傍受して録音した内容を公開した事例があります。

対照的に、一般的な電話回線における聴取や盗聴器による聴取は、法律で違法行為とみなされることがあります。

趣味としての傍受

無線通信を傍受する趣味を持つ人々も存在します。これは、SWL（Short Wave Listening）と呼ばれ、無線通信を受信した人が通信当事者に受信報告書を送り、当事者からQSLカード（受信確認証）を発行してもらうという活動です。QSLカードを受け取るまでは「傍受」と言えますが、カードを受け取った時点で、事後的に同意を得たことになり、「受信」とみなされます。また、日本アマチュア[[無線]]連盟（JARL）の准員は、アマチュア[[無線]]の当事者とみなされるため、アマチュア[[無線]]を受信しても「傍受」とはみなされず、単なる「受信」となります。

業務[[無線]]や官庁無線を傍受する趣味を持つ人もおり、これらの無線は「おもしろ無線」と呼ばれます。また、特定の周波数を探索することや、通信内容を楽しむことを目的とする人々もいます。無線の周波数に関する情報は、総務省のウェブサイトや個人運営のウェブサイト、書籍などで入手可能です。

災害時における傍受

災害発生時には、マスメディアからの情報だけでは不十分な場合があります。そのような状況下で、傍受活動が役立ちます。例えば、消防[[無線]]や救急無線、防災無線を傍受することで、二次災害の防止に繋がる情報を得ることが可能です。また、具体的な情報を即座に入手できるため、報道機関の情報よりも新鮮な情報を得られる場合があります。アマチュア[[無線]]でも、非常通信が行われるため、避難所の状況や必要物資の輸送に関する情報を知ることができる場合があります。また、日常的な場面でも、鉄道事故による列車の遅延や運休が発生した場合、鉄道無線を傍受することで詳細な情報を把握できることがあります。駅員よりも早く情報を入手できる場合もあります。

傍受対象

傍受の対象となる無線通信は多岐にわたりますが、近年ではデジタル化が進んでおり、傍受が困難になっているものも少なくありません。以下に主な傍受対象を挙げます。

行政機関

消防[[無線]]（デジタル化により傍受困難、一部アナログ）
救急無線（デジタル化により傍受困難）
警察無線（デジタル化により傍受困難）
自衛隊
海上保安庁（デジタル化により傍受困難）
防災無線
水道無線
建設無線（デジタル化）
その他官公庁無線

交通機関

鉄道無線（JRはデジタル化により傍受困難、一部私鉄は傍受可能）
船舶無線（アナログ方式のため傍受可能）
航空無線（アナログ方式のため傍受可能）
バス無線
タクシー無線（ほとんどがデジタル化、一部傍受可能）
高速道路維持会社無線（デジタル化により傍受困難）

一般業務

警備無線
電力会社無線（デジタル化により傍受困難、一部アナログ）
ガス会社無線（デジタル化が進んでいる）
運送会社無線
報道機関無線（デジタル化により傍受困難、一部アナログ）
銀行及び金融機関無線
簡易無線
新簡易無線
特定小電力無線
MCA無線（デジタル化により傍受困難）

趣味及びレジャー

アマチュア[[無線]]
パーソナル[[無線]]（廃止）
CB[[無線]]
特定小電力無線

その他

盗聴器
ワイヤレスマイク
コードレス電話機

これらの多くはデジタル化が進んでおり、2016年現在、デジタル通信に対応した受信機は市販されていません。警察や消防などの秘話化（暗号化）された無線は、傍受自体が違法となります。

傍受に際する受信機及び無線機の諸問題

広帯域受信機は受信のみを目的とするため、免許は不要です。しかし、アマチュア[[無線]]機を使用する場合は、無線局免許状と無線従事者免許証（アマチュア[[無線]]技士）の2つの免許が必要です。無線局免許を持たない人がアマチュア[[無線]]機を所持し、電波を発信できる状態にあると、不法無線局の開設とみなされ、処罰の対象となる可能性があります。また、傍受に関する雑誌でアマチュア[[無線]]機が紹介されることもあります。

傍受に関する法律及び犯罪

無線通信の傍受や無線機器の購入に関連する主な法律は以下の通りです。

電波法
第4条（無線局の開設）: 無線局を開設するには総務大臣の免許が必要です。
罰則: 1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
第39条（無線設備の操作）: 無線設備の操作は、無線従事者資格が必要です。
第39条の13（アマチュア[[無線]]局の無線設備の操作）: アマチュア[[無線]]局の操作も、原則として無線従事者資格が必要です。
罰則: 無資格操作は30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
第59条（秘密の保護）: 特定の相手に行われる無線通信を傍受し、その内容を漏洩したり、窃用することは禁止されています。
罰則: 一般人は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、無線従事者は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
その他
有線[[通信]]の盗聴：電気通信事業法第4条違反、有線電気[[通信法]]第9条違反となる場合があります。

まとめ

傍受は、無線通信において様々な側面を持ちます。趣味としての側面がある一方で、災害時には有用な情報源となり得ます。しかし、傍受に関する法律や規則を理解し、違反行為を行わないように注意することが重要です。

関連情報

無線
電波
電波法
無線機
無線従事者
通信の秘密
盗聴
ラジオライフ

外部リンク

総務省 電波利用ホームページ
総務省 電波利用ホームページ：不法無線局の特徴

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