傑作 (ボブ・ディランのアルバム)

ボブ・ディラン『傑作』：日本限定リリースの軌跡

1978年、ボブ・ディランのワールドツアーに合わせて、日本限定でリリースされたコンピレーションアルバム『傑作（Masterpieces）』は、彼の音楽キャリアを網羅する3枚組の豪華版です。このアルバムは、その後オーストラリアとニュージーランドでもリリースされましたが、現在は廃盤となっており、その希少性から多くのファンに求められています。

アルバムの特徴

『傑作』は、単なるベスト盤の枠を超え、レアトラックやライブバージョンを含む、ファン垂涎の選曲が魅力です。特に注目すべきは、以下の楽曲です。

「親指トムのブルースのように」 (1966年5月14日リヴァプール、ライブ)：1966年のライブパフォーマンスを収録した貴重な音源です。スタジオ版とは異なる臨場感あふれる演奏が楽しめます。
「スペイン語は愛の言葉」 (ピアノ・ソロ・バージョン)：この曲のピアノソロバージョンは、他のアルバムでは聴けない貴重なテイクです。ディランの繊細な表現力が際立ちます。
「ジョージ・ジャクソン（ビッグ・バンド・バージョン）」(ヒスあり)：シングルとしてリリースされたビッグバンドバージョンは、通常版とは異なるアレンジで、そのダイナミックな演奏が魅力です。
「リタ・メイ」：ディランとジャック・レヴィの共作で、1976年のシングル「メンフィス・ブルース・アゲイン」のB面に収録されたレアな楽曲です。
* 「ゴチャマゼの混乱」 (Alternate Take/Mono Mix)：『バイオグラフ』（1985年）初回盤に収録されていたものと同じですが、モノラルミックスで収録されています。

これらのレアトラックは、ディランの音楽性を深く掘り下げる上で非常に重要な役割を果たしており、このアルバムの価値を高めています。

収録曲詳細

Disc 1

1. 天国への扉
2. ミスター・タンブリン・マン
3. 女の如く（『ブロンド・オン・ブロンド』日本盤LP収録バージョン）
4. アイ・シャル・ビー・リリースト
5. 怒りの涙
6. 見張塔からずっと
7. コーヒーもう一杯（『欲望』より）
8. ライク・ア・ローリング・ストーン（『セルフ・ポートレイト』収録バージョン）
9. マイティ・クイン（『セルフ・ポートレイト』収録バージョン）
10. 明日は遠く（『グレーテスト・ヒット第2集』より）
11. レイ・レディ・レイ（『激しい雨』収録バージョン）
12. 愚かな風（『激しい雨』収録バージョン）

Disc 2

1. ゴチャマゼの混乱（Alternate Version/Mono Mix）
2. 寂しき4番街
3. 窓からはい出せ（『バイオグラフ』収録）
4. 親指トムのブルースのように（1966年5月14日イギリス・リヴァプール、オデオン・シアター、ライブ・バージョン）
5. スペイン語は愛の言葉
6. ジョージ・ジャクソン（ビッグ・バンド・バージョン）
7. リタ・メイ
8. 風に吹かれて
9. はげしい雨が降る
10. 時代は変る
11. 戦争の親玉
12. ハリケーン

Disc 3

1. マギーズ・ファーム
2. サブタレニアン・ホームシック・ブルース
3. やせっぽっちのバラード（『追憶のハイウェイ61』より）
4. モザンビーク（『欲望』より）
5. 火の車
6. アイ・ウォント・ユー（『ブロンド・オン・ブロンド』日本盤LP収録バージョン）
7. 雨の日の女（『ブロンド・オン・ブロンド』日本盤LP収録バージョン）
8. くよくよするなよ
9. ウディに捧げる歌
10. 悲しきベイブ
11. ラブ・マイナス・ゼロ／ノー・リミット
12. アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト（『ジョン・ウェズリー・ハーディング』より）
13. イフ・ナット・フォア・ユー（『新しい夜明け』より）
14. 彼女に会ったら、よろしくと（『血の轍』より）
15. サラ（『欲望』より）

アルバムの意義

『傑作』は、ボブ・ディランの多岐にわたる音楽性を凝縮した作品であり、彼のキャリアを振り返る上で欠かせない一枚です。初期のフォークソングから、ロック、カントリー、ブルースまで、様々なジャンルを横断するディランの才能を、このアルバムを通して堪能することができます。

現在では入手困難なアルバムですが、その音楽的な価値は色褪せることなく、ボブ・ディランのファンにとって、まさに「傑作」と呼ぶにふさわしい作品と言えるでしょう。

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