催奇性

催奇性とその影響

催奇性（さいきせい）は、妊娠中または妊娠直前の女性、さらには妊娠を計画している男性が特定の物質を体内に取り込んだ場合に、胎児に奇形を引き起こす作用を指します。これにより、一定の物質や薬剤が胎児の発育に与える影響が深刻であることが確認されています。そのため、妊娠を計画している男女や妊婦には注意が求められる重要な概念です。特に催奇性が強い物質の場合、投与を中止した後でも、女性は少なくとも2年間、男性も最低6ヶ月間の避妊が推奨されます。

催奇性物質の具体例と影響

催奇性のある物質には、アルコールやタバコなどの化学物質の他、いくつかの医薬品が挙げられます。これらの中には、妊娠に関与しない場合には適切な量で治療効果が見込めるものもあります。しかし、妊婦が摂取することで胎児に奇形を引き起こすリスクが生じることが確認されています。そのため、妊娠を計画している男女は事前に医師や薬剤師に相談することが重要です。

代表的な催奇性の医薬品

• - サリドマイド: 1957年に発売されたこの睡眠薬は、数千人の奇形児を産んだことで知られています。実験動物の試験では催奇性が確認されなかったものの、ウサギを使った試験でリスクが明らかになりました。現在では、抗多発性骨髄腫薬やハンセン病の治療薬として用いられる一方で、妊娠中や妊娠前の使用は厳禁です。

• - エトレチナート: これは乾癬や毛孔性苔癬の治療に用いられますが、非常に強い催奇性を持つため、女性は投与中止後最低2年間、男性も6ヶ月間避妊が必要です。

• - イソトレチノイン: 主ににきびの治療に使われますが、重大な催奇性を持っているとされ、日本では未承認となっています。妊婦や授乳中の母親に対しては特に注意が必要です。

その他の催奇性物質

• - トレチノイン: 過剰摂取時に催奇性の可能性があるため、妊娠中や授乳中の女性への処方は避けられます。
• - ファビピラビル（アビガン）: 新型インフルエンザウイルス感染症の治療薬ですが、妊娠予定時には使用を控えるべきです。
• - ミコフェノール酸モフェチル: こちらも催奇性を持つとして注意が必要です。

化学物質に関連するリスク

催奇性の影響は医薬品だけでなく、様々な化学物質に関しても報告されています。例えば、ダイオキシンは動物実験で奇形を引き起こすことが確認され、実際にはベトナム戦争で使用された枯葉剤がベトナムの住民に健康被害をもたらしたことが知られています。この枯葉剤にはダイオキシンが含まれており、催奇性の原因と考えられています。さらに、セベソ事故では、ダイオキシン暴露後に奇形の出生や流産、癌の発生率の増加が報告されています。

まとめ

催奇性は、妊娠中の女性や妊娠を計画中の男女にとって非常に重要なテーマです。医薬品や化学物質の中には、胎児に対して致命的な影響を及ぼすものが多数存在します。これらの物質の摂取については、医師や薬剤師との相談に加え、自身の健康管理と胎児の安全を最優先に考えることが重要です。

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