元刈谷村

元刈谷村（もとかりやむら）

元刈谷村は、かつて愛知県碧海郡に存在した村で、現在の刈谷市の一部を構成しています。境川河口部の左岸に位置し、豊かな自然環境に恵まれていました。

地理

村は碧海台地の西端に位置し、縄文時代晩期の本刈谷貝塚が発掘されています。この貝塚は「刈谷西部の縄文遺跡」として愛知県の指定史跡となっており、古代からの人々の生活の痕跡を今に伝えています。当初は衣浦湾（三河湾）に面していましたが、延宝7年（1679年）以降に多くの新田が築かれたことで、境川沿岸の村へと変化しました。

歴史

村の始まりは亀村という名称でしたが、後に刈谷村へと改称されました。ただし、苅谷と表記されることも多かったようです。天文2年（1533年）に水野忠政が北1kmの場所に刈谷城を築城したことで、この地は本刈谷と呼ばれるようになりました。

江戸時代には刈谷藩領となり、藩主の本多氏が同一の漢字を用いることを避けたため、本刈谷から元刈谷へと改名されました。『寛永高附』では本苅屋村、『元禄郷帳』では本苅谷村、『天保郷帳』では元苅谷村、『旧高郷帳』では元刈谷村と、時代によって表記が異なっています。

明治時代に入ると、1876年（明治9年）には戸数390、人口1,598人を数えました。1881年（明治14年）に明治用水西井筋が通水したことで耕地面積が拡大し、農業が発展しました。1891年（明治24年）には戸数361、人口1,687人となっています。

年表

1889年（明治22年） - 町村制施行により碧海郡元刈谷村が発足。
1906年（明治39年）5月1日 - 碧海郡刈谷町・逢妻村・小山村と合併し、新たに刈谷町が発足。元刈谷村は廃止。

名所・旧跡

元刈谷村には、歴史と文化を感じさせる多くの名所・旧跡が点在しています。

本刈谷貝塚：縄文時代晩期の貝塚で、「刈谷西部の縄文遺跡」として愛知県指定史跡となっています。
本刈谷神社：村社。1930年頃には境内に「西南戦争戦死者之碑」（1889年建立）が移されました。境内には本刈谷神社貝塚もあります。
実相寺：浄土宗の寺院。
崇福寺：浄土宗の寺院。「伽羅香木阿弥陀如来立像」は愛知県指定文化財、「木造阿弥陀如来坐像」は刈谷市指定文化財です。
楞厳寺：曹洞宗。刈谷藩主だった水野家の菩提寺です。「絹本著色伝通院画像」は愛知県指定文化財で、「絹本著色水野忠重画像」、「絹本著色華陽院画像」、「伝通院調度品」、「水野家廟所」は刈谷市指定文化財です。
海会寺：曹洞宗の寺院。
西勝寺：真宗大谷派の寺院。
専光寺：真宗大谷派の寺院。「往生要集」と「美濃国鍛冶系図」は愛知県指定文化財で、「専光寺のクスノキ」、「絹本淡彩真慧上人画像」、「地獄の絵巻物」、「紺紙金泥大般若経」は刈谷市指定文化財です。
長遠寺：日蓮宗の寺院。

これらの寺社や文化財は、元刈谷村の歴史と文化を物語る貴重な遺産です。訪れる人々は、いにしえの息吹を感じながら、豊かな歴史に触れることができます。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 23 愛知県』角川書店、1989年

関連項目

* 愛知県の廃止市町[[村]]一覧

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