元宗 (高麗王)

元宗について

元宗（げんそう、1219年4月5日 - 1274年7月23日）は、高麗の第24代の王であり、在位期間は1260年から1274年までです。元宗は姓を王とし、諱は禃、初名は倎、また諡号は忠敬順孝大王として知られています。

元宗は、太子として成長する過程で高麗がモンゴルに服属していた時期に人質としてモンゴルに送られました。この出来事は、彼の政治的立場や後の治世において重要な影響を及ぼすことになります。1259年に父である高宗とモンゴル皇帝モンケが相次いで死去したため、元宗は帰国し、江都で即位を果たしました。このような背景により、彼は帝位争いの末に即位したクビライに臣従する道を選び、高麗の国王の権力を強化し、モンゴルとの親密な関係を築く政策を推進しました。

しかし、この親モンゴル政策には反発が生まれました。多くの重臣がこの政策に異議を唱え、元宗は一時的に廃位される危機に瀕しました。ところが、モンゴルの力を借りて重臣たちを排除し、そして100年近く続いた高麗の武臣政権に終止符を打つことになります。これにより、広く政治的権力を掌握しようとする元宗の野心が強く示されました。

元宗は1270年に開京への還都を果たし、さらに統治を安定させようと試みました。還都によって国の中心を移動させることは、彼の政治的な意向を具現化するものでありましたが、同時に反モンゴルの運動を牽引する三別抄に対しては対応を誤りました。これにより、三別抄は元宗の姿勢に強い不満を持ち、高麗に対しても反乱を起こすに至ります。

元宗は、モンゴルに対して負担となる日本遠征を命じられ、さらなる税負担が臣民にのしかかりました。これに伴い、民衆の不満は高まり、元宗の治世はその政策の失敗を多くの形で示しました。シンプルに言えば、彼の政治的な選択が国民からの支持を失わせ、さらなる混乱を招く要因となっていたのです。

1274年、文永の役の直前に元宗は病に倒れ、世を去りました。彼の治世はモンゴルとの複雑な関係と、国内での権力闘争という、極めて難しい時期を反映しています。

家族

元宗の家族には、静順王后金氏（順敬太后）、忠烈王をはじめとして、慶昌宮主柳氏（新安公 王佺の娘）、始陽侯 王珆、順安公 王琮、慶安宮主、咸寧宮主などが存在しました。彼らの存在もまた、元宗の政治的な立場や国の運命に重要な影響を与えていたと考えられます。

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