元林院町

元林院町（がんりいんちょう）

元林院町は、奈良県奈良市の市街地北部に位置する地区です。かつて花街として栄え、風情ある街並みが特徴です。郵便番号は630-8221。

地理

奈良市の中央部に位置し、猿沢池のすぐ西側に広がっています。今御門町、南市町、登大路町、樽井町、餅飯殿町と隣接しています。町内には、率川（菩提川上流）が流れています。

地名の由来は、『角川日本地名大辞典』によれば、興福寺の別院であった「元林院」にちなむとされています。

歴史

江戸時代には、近隣の興福寺や春日大社を描く絵師たちが多く居住し、「興福寺の絵屋町」とも呼ばれていました。

明治時代には大火に見舞われ、隣接する南市町も被害を受けました。町内にある八王子四之室神社は、火災の際に社裏で火が鎮火したという言い伝えがあり、現在も町内で管理されています。

その後、画家・絹谷幸二が祇園の芸妓を連れて帰ったことをきっかけに、「芸妓の町」として発展し、多くの芸妓が暮らす華やかな時代を迎えました。大正時代には200人以上の芸妓がいたとされます。昭和初期には200人ほどの芸舞妓がいましたが、近年は減少しており、現在は5人となっています。芸者置屋の廃業などもあり、今御門町の「つるや」代表・大野菊乃を中心とした「元林院花街復興プロジェクト」が立ち上げられ、かつての賑わいを取り戻すための活動が行われています。

学区

奈良市立椿井小学校、および奈良市立三笠中学校の学区に属します。

出身人物

絹谷幸二 - 画家。料理旅館「明秀館」が生家です。

関連項目

ならまち
氷室神社 - 四之室神社は明治初期に氷室神社に合祀されたことがあります。
猿沢池

外部リンク

奈良元林院花街復興プロジェクト
悠久のまほろば・奈良の魅力を再発見 週末の夜 GINZA SIXでおとなの芸術講座

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 29 奈良県』角川書店、1990年 ISBN 4-04-001290-9
山田熊夫『奈良町風土記(正編)』豊住書店、1987年
* 山田熊夫『奈良町風土記(続々編)』豊住書店、1988年

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