元町 (函館市)

元町（もとまち）

北海道函館市の西部に位置する元町は、古くからこの地の中心として栄え、数々の歴史を刻んできた特別な場所です。「箱館」という地名の始まりの地としても知られ、現在も多くの観光名所が集まる函館観光の核となっています。郵便番号は040-0054です。

概観と歴史

元町地区は、隣接するベイエリアや末広町と共に「函館市元町末広町伝統的建造物群保存地区」に選定されており、歴史的・文化的価値の高い建物が数多く保存されています。これは、この地が辿ってきたユニークな歴史を今に伝える貴重な財産です。

古くから天然の良港として栄え、海産物交易の拠点であった箱館。江戸時代後期、1779年には江戸幕府がロシアの南下政策に備えるため、蝦夷地を直轄地とし、その拠点として現在の元町公園の場所に「箱館奉行所」を設置しました。明治期に入ると、開拓使函館支庁が置かれるなど、およそ300年にわたり函館、さらには北海道の発展を牽引する中心的な役割を担ってきました。

近代における元町の特筆すべき点は、日本の開港の歴史に深く関わっていることです。ペリー提督率いる黒船来航後の1854年、日米和親条約が締結され、箱館（函館）は下田とともに日本の開港地に選ばれました。さらに同年、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスとの修好通商条約が締結され、函館港は横浜や長崎などと並び、日本の最初期となる対外貿易港の一つとして開かれました。

この開港を機に、各国領事館や様々な宗派の教会などが次々と建てられ、他の日本の都市にはない、独特の異国情緒あふれる美しい街並みが形作られていったのです。洋風建築と日本家屋が混在し、坂道の多い地形と相まって独特の景観を生み出しています。

現在においても、元町はその歴史的な景観と豊かな文化遺産を背景に、函館観光の中心地として国内外から多くの人々が訪れています。歴史的な建物を巡り、異国情緒あふれる街並みを散策し、そして函館山からの壮大な景色を望むことができるなど、多様な魅力が凝縮されています。

主な施設

元町地区とその周辺には、以下のような代表的な観光施設や歴史的建造物、公共施設などが点在しています。

旧函館区公会堂
旧イギリス領事館
元町公園
函館ハリストス正教会
カトリック元町教会
函館聖ヨハネ教会
石井家住宅
函館山ロープウェイ山麓駅
八幡坂
基坂
二十間坂
チャチャ登り
北海道函館西高校
ロシア連邦在札幌総領事館函館事務所

これらの施設は、元町の歴史や文化、そして現在の賑わいを象徴しており、訪れる人々に多くの発見と感動を与えています。

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