元禧

元禧（げん き）

元禧（生年不詳 - 501年）は、北魏の皇族であり、咸陽王に封じられました。字は永寿。

生涯

献文帝と封昭儀の間に生まれた元禧は、太和9年（485年）に咸陽王に封じられ、侍中、驃騎大将軍、中都大官といった要職を歴任しました。その後、使持節・開府・冀州刺史として地方へ赴任し、都督冀相兗東兗南豫東荊六州諸軍事の任を加えられました。しかし、任城王元澄の隷戸を略取したことが孝文帝の知るところとなり、叱責を受けました。その後、司州牧・都督司豫荊郢洛東荊六州諸軍事に転じ、太和19年（495年）には長兼太尉に任じられました。

孝文帝は兄弟に対する情が篤く、特に元禧に対しては手厚い礼遇を施しましたが、その貪欲な性格を度々戒めていました。しかし、元禧の欠点は生涯を通じて改善されることはありませんでした。太和21年（497年）には、孝文帝の南征に従軍し、南陽攻略に貢献しました。太和23年（499年）には正式に太尉に任じられました。

孝文帝の崩御後、元禧は宣武帝を輔弼する大臣の一人として遺託されました。しかし、その地位を利用して密かに賄賂を受け取り、産業を経営して財産を蓄えるなど、豪奢な生活を送りました。数十人もの姫妾を抱え、淫色に耽るなど、その振る舞いは宣武帝の憎悪を買いました。

景明2年（501年）には太保に進み、太尉を兼任しましたが、宣武帝の親政に不安を抱き、妻の兄である李伯尚と共に反乱を計画します。しかし、この計画は武興王楊集始の密告により露見し、元禧は数人の従者と共に洪池から逃亡を図りましたが、間もなく捕らえられ、華林都亭に連行されました。宣武帝自らの糾問を受けた後、私邸にて死を賜りました。

妻子

正室：李氏（李宝の子の李輔の娘）
側室：申屠氏

男子

元通（字は曇和。元禧の死後、殺害された）
元翼（字は仲和。申屠氏の子。南朝梁に亡命し、咸陽王。信武将軍・青冀二州刺史）
元昌（南朝梁の直閤将軍）
元曄（字は世茂。南朝梁に亡命し、桑乾王）
元顕和（江南で没した）
元樹（字は秀和）
元坦（字は延和。敷城王）
元昶（太原王）

女子

楽安公主 元仲英（閭伯升の妻）
上庸公主（陸子彰の妻）

伝記資料

『魏書』巻21上 列伝第9上
『北史』巻19 列伝第7

もう一度検索