兄弟仁義 (映画)

兄弟仁義

『兄弟仁義』（きょうだいじんぎ）は、1966年4月23日に公開された日本映画で、79分のモノクロのシネマスコープ形式で制作され、東映によって配給されました。この作品は、松方弘樹と北島三郎が共演し、北島三郎が初めて主演を務めた映画としても知られています。シリーズ全体では8作が公開され、最初の作品として大きな成功を収めました。

この映画は、ヤクザの世界における男同士の絆や兄弟分の契りをテーマにしており、同名の楽曲が映画化されたことで、リリースされた楽曲と共に広くヒットしました。『兄弟仁義』の成功は、東映が任侠映画を制作する上での新たな方向性をもたらし、特に鶴田浩二や高倉健といった大物スターが特別出演することが多かったため、しばしば傑作と評されています。この作品のヒットにより、東映はより多くの人気歌手を主演させることに成功し確固たるスター・ローテーションを築くことができました。

製作の背景

本作は、『日本侠客伝』（1964年）の成功を受けて、京都撮影所の岡田茂所長とプロデューサーの俊藤浩滋によって企画されました。彼らは「主人公とそれを支える流れ者」という構図に注目し、これにより男同士の情緒を描くことが可能になると考えました。特に、鶴田浩二主演の『博徒シリーズ』とは異なる独自のスタイルを採ることで、視聴者に新しい体験を提供できると判断したのです。

シリーズ化に先駆けて制作された『昭和残侠伝シリーズ』や『兄弟仁義』は、流れ者のキャラクターを中心に展開しており、それぞれの作品が描く独特なパターンは多くの支持を集めました。北島三郎は、この映画が自身の俳優人生のスタートに大きな影響を与えたと語っています。当時、彼の俳優としての経歴は浅く、予算の都合から本作はシリーズで唯一の白黒作品となりました。

また、1960年代半ばには芸能人の暴力団との関係に関する批判が高まり、東映でも暴力を否定する企画が増えていましたが、やはり本作のヒットによりその流れに逆行することとなりました。

宣伝と興行

公開に際して広く展開されたポスターには、当初の出演予定者として里見浩太郎や大木実など、多数のキャストの名前が掲載されていましたが、最終的なキャストは異なるものとなりました。

キャスト

映画のクレジットは松方弘樹と北島三郎の連名で始まり、特別出演として鶴田浩二がクレジットされています。次作からは北島が主役としてクレジットされることになります。

• - 藤上栄次郎（鶴田浩二）: 浅草出身の旅人で、上州鳴子組の客人。
• - 貴島勝次（北島三郎）: 改心した元イカサマ師で、上州鳴子組の旅館で働く。
• - 岩木五郎（人見きよし）: 貴島の相棒になるイカサマ師。
• - 鳴子治三郎（村田英雄）: 上州鳴子組の組長。
• - 鬼頭鉄五郎（安部徹）: 鬼頭組の組長。

このように、多彩なキャラクターが織りなすドラマは、任侠映画ファンの心をつかみました。

同時上映

本作は、東映が制作した『網走番外地 荒野の対決』と同時に上映されました。

ネット配信

現在、この作品は東映シアターオンラインにて配信されており、2023年11月3日から11月17日まで視聴可能です。この機会にぜひご覧ください。

『兄弟仁義』は、やがて続編が制作され、多くの人に愛されたシリーズとなりました。その続編は、いずれも独自のキャラクターとストーリーを持ち、さらなる人気を博しました。

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