先手組

先手組（さきてぐみ）について

先手組は、江戸幕府における重要な軍制の一つであり、治安維持の役割を担っていました。この組織は特に若年寄に属し、幕府の中で特別な位置にありました。名前の「先手」という言葉は、先陣や先鋒、つまり戦争において前線に立つ部隊を指しています。先手組は、徳川家に仕える重要な役割を果たし、特に戦闘時には徳川家の先鋒足軽隊として活動しました。

江戸幕府が成立する以前、先手組は戦闘部隊として機能しており、弓や鉄砲を使った足軽たちを編成して合戦に参加していました。しかし、江戸時代が始まると戦乱の時代は少なくなり、先手組の役割も変わっていきました。平時には江戸城の各門を警備し、将軍の警護や城下の治安維持を行うことが主な任務となりました。

先手組の指導者である先手頭は、六位に相当する地位を持ち、役高は1500石、さらに60人扶持の支給を受ける特権を持っていました。また、先手頭は各大名家の「御頼みの旗本衆」とされ、幕府との打合せや報告の役割も含まれていました。このため、由緒ある旧家の出身者が先手頭に任命されることが多かったのです。

先手頭は、先手弓頭（御先弓頭、総御弓頭）や先手鉄砲頭（御先筒頭、総御鉄砲頭）という職名で併称され、これらの役職は一体として機能しました。時代によって組数は変遷しましたが、一例として弓組が約10組、鉄砲組が約20組存在し、合わせて30組程度で構成されていました。各組には、組頭1騎、与力が10騎、そして30人から50人ほどの同心が所属していました。

江戸の治安を守る町奉行とは異なり、先手組は武官としての役割を持っていました。町奉行が主に行政や経済を管理するのに対し、先手組は武備を受け持ち、その部下である組与力や組同心は厳しい取り締まりを行っていました。このため、江戸の民衆からは恐れられる存在となっていました。

また、火付盗賊改方という役職の長官は、先手頭が兼任しており、毎年十月から翌年の三月にかけて、追加の一名が出役し、この新任者は「加役」と呼ばれる慣習がありました。この制度により、先手組はその機能をさらに強化し、江戸の町を守る役割を果たしていました。

関連項目

• - 長谷川宣以
• - 森山孝盛

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