先軫

先軫の生涯と功績

先 軫（せん しん）は、中国春秋時代における晋の武将および政治家であり、生没年は不詳です。彼は、名将狐偃に見出され、文公に仕えることになりました。先軫の人生は、晋の歴史において重要な意味を持つ出来事が多数含まれています。

仕官のきっかけ

晋国内は驪姫の乱によって混乱に陥り、王族間での権力争いが繰り広げられていました。献公の時代、太子申生は賜死させられ、次男の重耳は狄へ逃れ、三男の夷吾は梁に亡命しました。その中で、先軫は狄の狐氏に匿われている重耳を訪ね、彼に仕官する道を選びました。重耳に仕官した際、先軫の優れた武力と能力が狐偃の目に留まり、徐々に重用されていくこととなります。

流浪の旅

驪姫の乱の収束後、若い夷吾が即位すると、重耳は暗殺の危険を感じ、逃げることを決意しました。斉の桓公のもとに亡命する際、先軫は重耳の仲間の中で最も若い一人でした。重耳の流浪は19年に及び、先軫はその間に彼を支え続けました。この長い流浪の日々は、先軫と重耳の絆をより一層強める結果となりました。

将軍としての活躍

重耳が国へ帰還した際、彼は文公として即位し、狐偃を宰相に任命して善政を施しました。文公のもとには周王室から救援要請が寄せられ、彼はこれに応じて出陣します。その戦役を経て、文公は名実ともに覇者となりました。城濮の戦いでは、中軍の将郤縠が突如として戦死し、新たに先軫がその任に就くことになりました。先軫は巧妙な策略を立て、敵国・楚を孤立させることに成功します。この勝利により、晋はさらに勢力を強め、先軫の名声も高まることとなりました。

正卿として国政を担う

狐偃が亡くなると、先軫は正卿（宰相）に任命され、国政を担う立場になりました。文公が死去した後、襄公が即位すると、隣国の秦に攻め込まれ、先軫はこれに対して立ち向かいます。襄公は、先軫の軍勢によって見事に三人の将軍を捕虜にしましたが、後に襄公が母の諫言に従い、捕虜を逃がしてしまいます。これに激怒した先軫は襄公を面と向かって罵倒したという逸話が残っています。襄公は先軫の主張が正しいことを認め、罰を与えることはありませんでしたが、先軫はこの出来事を悔い続けました。

戦死とその後の評価

その後、狄との戦いにおいて、晋の軍が劣勢に立たされた際、先軫は自ら敵陣に突入し、戦死します。彼の死は、晋軍にとって大きな損失であり、彼の功績は長く語り継がれることとなりました。先軫の勇敢さと忠誠心は、後世の人々に深い感銘を与えています。

参考文献

• - 『史記』晋世家
• - 『春秋左氏伝』

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